ポンキッキーズが45年の歴史に幕を下ろした今、「ガチャピン」の名を欲しいままにするGacharic Spinが、4月11日にニューアルバム「G-litter」をリリースする。
「全力エンターテイメントガールズ凄腕最強ガールズバンド」を志し活動しているというGacharic Spin通称”ガチャピン”のニューアルバムは、ガチャピンらしい攻めのハードチューン「Redline」をリードトラックとし、昨年リリースされた軽快なソウルロックナンバー「ジェネレーションギャップ」などバラエティに富む10曲を収録。
まさにエンターテイメント全開のガチャピンワールドが収められている。
アイドル文化の熟れの果てGacharic Spin
今までいくつかのグループを通して、2010年以降のアイドルブームの中で起こっている「アイドルとバンドサウンドの融合」と「アイドルのハードコア化」について紹介してきたが、Gacharic Spinは、そのアイドルムーブメントのボーダーにいるグループであり、カオス化したアイドル文化の「熟れの果て」であると思える。
Gacharic Spin / Redline
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アイドルがロックの持つエモーションを取りこみ、バンドサウンドをたずさえ「ハードコア化」する時、どうしてもバックのバンドサウンドとフロントでボーカルを取る”アイドル”との間にシームが発生するが、その問題をGacharic Spinは独創的な方法で解決している。
Gacharic Spinの豪快なアイドル融合
2009年にアイドルチックなガールズバンド「THE PINK☆PANDA」を脱退したF チョッパー KOGAがドラムのはなを誘い結成したGacharic Spinは、2014年以降「パフォーマー」と呼ばれるアイドルダンスを担当するメンバーを帯同し活動を続けている。
Gacharic Spin / ジェネレーションギャップ
4人のバンドメンバーとフロントのパフォーマーで構成されるステージで、通常であればフロントがボーカルを担当するところを、ドラムやキーボードが歌い出すので、
「お前が歌うんかい!」
「てか、前で踊ってるアイドルみたいなのは誰だよ!」
と、見ている側は混乱する。
しかし、高いテクニックとパフォーマンス力を備える楽器隊と、フロントを飾るパフォーマーとの間にシームが無く、このエンターテイメントスタイルこそがGacharic Spinの真骨頂であり、Gacharic Spinのステージを特異なエンターテイメントとして成立させていると思える。
「Gacharic Spin “ライバー大宴祭”The Movie」超先行映像
握手するファンの数を競い合うアイドルに楽器を持たせ、お遊戯会の様なへったくそな演奏を披露したり、クールなバンドサウンドをぶち壊すアイドル歌唱など排除してもなお「アイドル的ななにか」が成立する事を、Gacharic Spinは示している。
Gacharic Spinにおけるパフォーマーの重要性
例えば米米クラブのジェームス小野田や電気グルーブのピエール瀧など、グループの核として欠かせない存在だがファン以外には「お前なんで居るの」と言われてしまうようなメンバーを有するバンドはいくつか存在する。
Gacharic Spinにおけるパフォーマーはそのような「グループの核」となる様な存在とは違い、他の楽器と同様に重要なパートとして機能している。メインボーカルだったArmmyが居た時と比べると、その重要性は理解してもらえるだろうと思う。
Gacharic Spin / LosT AngeL
かつては、しっかりしたArmmyのボーカルと技術力の高いメンバーという、まとまりのあるバンドスタイルを保っていたが、今のGacharic Spinに比べればなんの面白みも無い凡庸なガールズバンドでしかない印象を持つ。
Gacharic Spin / NEXT STAGE
そんなGacharic Spinがメインボーカルを失い、サポートメンバーであったオレオレオナをボーカル/キーボードとして迎え、ドラムのはなとツインボーカルで活動を続ける中で「ガチャガチャダンサーズ」がバンドに花を添えるカタチで加わる。それでも初期はまだ”花を添える”程度のものだった。
Gacharic Spin – 赤裸ライアー(メジャー1stシングル)
そして、メジャーデビューを前に”パフォーマー”というパートが正式にバンドのフロントを務めるに至る。これはバンドのスタイルとして「画期的」な革命とも言えるものであると思える。
究極、パフォーマーが居なくても4人のバンドメンバーがいれば楽曲はプレイは出来るのだが、パフォーマーがいる事を前提としたGacharic Spinのアイドルソング的楽曲の魅力は半減してしまうだろう。
Gacharic Spin / MUSIC BATTLER
確かなアーティスト性を持っていながら「アイドル扱い」される事に反発するガールズバンドは多いが、確かなアーティスト性を持ちつつ、あえて自ら「アイドル扱い」されるスタイルを取り「アイドルとバンドの究極的ミクスチャー」としてそのスタイルを確立させているGacharic Spinは「究極的なアイドルの形態」として捉える事も出来る。
Gacharic Spin / KAKUHEN
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たぶん、この独創的なバンドスタイルはGacharic Spinだけが成し得た唯一無二のものであるだろう。
日本のアイドル文化が生み出した「究極的なアイドルバンド」Gacharic Spinの独創的なエンターテイメントを、これからも楽しみにしたい。