今の時代だからこそ聴きたいフォークソングたち

出会い、別れ、季節の移り変わり、夕食後の道の匂い…そんな記憶を喚起する音楽ジャンルが昔は世を席巻していた。
「フォークソング」である。

どうもロックやポップスなどに押されて前に出てきにくいジャンルではあり、フォークソングで近年大成功したバンドは、ポップスを微妙に散らばせることによって生き残った「ゆず」と「コブクロ」ぐらいのものではないだろうか。

定義について語り出すとまた長々とした文章になってしまうので、一言だけ。
「今の時代だからこそフォークソングを聴いて欲しい」。
フォークソングには、昔の日本、青春の足取りが確かに描かれている。

それを聴かずして音楽好きは名乗れないと言っても過言ではないだろう。

携帯電話もない時代に、同居していた恋人に別れを告げるには

堺正章/さらば恋人


私この曲めちゃくちゃ好きなのだ。
手紙に一言「さよなら」と書き、主人公は汽車(今時ないよ!)に乗って故郷へと戻る。

その置いてきた恋人に思いを馳せながら、もう戻れないと思っていた郷里へ歩を進める主人公は、夢破れて山河あり、という心境か。
これが堺正章の訥々とした歌声と実によく調和していて、まずはフォークといえばこれを聴いて欲しいのだ。

もう別れてしまった彼女の影をいつも追ってしまう…未練などないはずなのに

寺尾聰/ルビーの指環


初めはそんなにいい曲だと思わなかったんですよ。

「(指輪を)俺に返すつもりなら捨ててくれ」「街でベージュのコートを見かけると指にルビーのリングを探すのさ」とかめちゃくちゃ女々しいですよね。(「今までやったもの全部返せ!」よりは女々しくない程度)

ただ、この曲聴いてると情景がめちゃくちゃ浮かぶわけ。
私がこの曲に遭遇したのは幼稚園の時なんで、多分懐メロ扱いというか流行したからなんども歌わされたかのどっちかだと思うんだが、はい、寺尾聡に恋をしましたね。
それからずっと「初恋の人は寺尾聰」で通している。

いやめっちゃかっこいいんだから聴けば聴くほどかっこいいんだから。
誕生石の本を読んで「なぜ私はルビーが誕生石でないのだ」って悩んだ幼い頃。
スルメソングの代表格と言ってもいい。

人生こんな親友さえいれば、きっと楽しい、多分乗り越えていける

ムッシュかまやつ/我が良き友よ


この曲はとても好きで、初めて観たのがムッシュかまやつと吉田拓郎が交互に歌う番組だった。

今時「下駄」「バンカラ」「下宿」なんてそぐわないですが、これが昭和の風景を想像させてすごくにこにこしてしまう曲なんである。
男性の友情っていうのは儚いように思えて実はいつまでも続く。

続くと思いたい。

そういう、理想の友人関係が描かれているのだ。
でもカラオケで歌うとちょっと長いから覚悟が必要でもある。

フォークがロックの原型と言われてよくわかる…マイナスの世界

井上陽水/氷の世界


毎回思うんだけどどんな田舎だって「窓の外にはリンゴ売り 声を枯らしてリンゴ売り」なんてそんなにいないと思うし(白雪姫かよ)「きっと誰かがふざけて リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう」って接続パンクすぎないか。

でもこれ一応フォークなんだよなあ。
あまりにパンクすぎて筋肉少女帯がカバーしてホモビデオのような演出のMV出してるんだなこれが。
レコードの時代にこの曲をいれたアルバムがミリオンを記録したり、井上陽水は日本のチャック・ベリーなんじゃないか?

まあこれがかっこいいので、不条理ものが好きな人は確実にはまるだろう。

フォークソングの代表曲ってこういうのじゃないんじゃない?

【EP】美盤!寺尾聰 「 ルビーの指環/CINEMA HOTEL」【検:針飛び無】

そう、その反論はちょっとわかる。
「ビリー・バンバン」とか「かぐや姫」とか取り上げるべきだってのもわかる。
「いちご白書をもう一度」とか「戦争を知らない子供たち」がないっていう不満もよくわかる。

でも、とりあえずの入門編としてこの4曲を上げておいた。

これらの曲を聴いて、「フォークってかっこいい」と思ってもらえたらしめたもの。
いくらでもお勧めしますんで片っ端から聴いてくれ!

文=阿部春泥

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