みなさんライブにはよく行かれますか?
そんな時、イベンターっていう単語をよく耳にするのではないかと思います。
音響、照明などと違って言葉からはあまり想像しにくいですね。
では、イベンターとは何なのか?
戦後の芸能界には興行師、呼び屋という人々が主に進駐軍(米軍)などを相手にナイトクラブやキャバレーなどにバンドを手配したり、海外のアーティストを招聘し興行を打つ人々がいました。そういった人たちがやがて自分で会社を起こし日本人歌手のマネジメントなども執り行うようになります。
そして世界では、ビックバンドが次々と誕生します。公演を行う会場の規模も大きくなり、音響、照明などの舞台装置も大きく専門性の高いものになっていきました。
そして1966年6月30日、とうとう世界的モンスターバンド「ビートルズ」が日本にやってきます。
聖地日本武道館に初めて音楽と観客の熱狂が響いた日ですね。
その後、興行を専門に行う会社が次々と誕生します。
キョードー東京、ウドー音楽事務所など。
これらの会社の人々がイベンター、プロモーターなどと呼ばれるようになります。
また、最近では個人でライブハウスのイベント企画をしたりする人もイベンターと呼ばれているようですね。
プロモーターとイべンターの違いは?
これは諸説あり、違いがないという人もいますがコンサートの制作(コンサートはざっくりですが運営と制作に分かれます)にどれだけ関わっているかで分けられるのかなと思います。
コンサートを実現するために準備をするのがイベンター。
どういうコンサートを作っていくのかという作業(宣伝、広告等も含め)もするのがプロモーター。
でも実際、業界の人で、私はプロモーターです。という人には会ったことがありません。
イベンターってなにするの?
ではイベンターとは実際にどんな仕事なのでしょうか?
はっきり言います。なんでもします。
会場などの手配
まず、会場の手配、大きい会場などは早くから仮押さえをしないと取れません。
制作が決めていなければ、舞台制作、音響、照明の手配。
舞台制作と相談して会場の客席、キャパ設定。見えない席を売ることはできません。(見切れ席を販売することもまれにありますが)
チケットの手配、各プレイガイド(ぴあ等)へのチケットの振り分け。
会場警備計画の提出、また警備員の手配。消防署にも禁止行為の解除申請を行います。(スモークを炊く等)
ツアーの場合、出演者、全スタッフの移動、宿泊手配。ただ、全国ツアーの場合は各地にイベント会社がありますので自分の担当エリアだけで済む場合がほとんどです。
当日の搬入、搬出の段取りを舞台制作チームと行います。大きい公演の場合11トントラックがガンガン行き交います。
スタッフ、関係者の当日の駐車場手配
当日はもちろん一番乗りです。
大きい会場なら深夜に入ることもあります。
まず、スタッフの控え室や出演者の楽屋を作りながら、警備と連動してトラックと車両のさばきをします。
また、いわゆるイベンターの本部を設置します。何か問題が起きた時にすぐに対処できるよう、大きい会場では必ず人が本部にいなければいけません。
会場のパスコントロールもここから始まりますので、正常に機能しているかのチェックも重要です。
大きい会場だと、仕込みが3、4日なんていうのもざらにあります。
また、スタッフの食事の手配も重要です。まれにオベンターなどとも呼ばれます。
舞台、客席が出来上がると、音響、照明のチェックが入ります。その間にいわゆる見切れチェックをしていきます。
通常、テレビ等での見切れとは画面に写ってしまうことを指しますが、コンサートの場合は舞台(演者)が見えないことを見切れと言うのです。
見切れチェックが終わったら、特にやることはないのですが、会場で何か問題があってはいけないので眠れません。
だいたい会場の人と打ち合わせという名の世間話をしている事が多く、また次の現場の段取りなどをします。
当日には、運営アルバイトスタッフさんが来るので入場時に配布するフライヤーの作成など、人出を要するものを片づけていく事が多いです。
物販の先行販売、当日券の販売等も手伝います。
そしてアーティストが入ってきてリハーサルが始まり、何かアーティストサイドから要望があれば、それに極力(ほとんど)答えていきます。
アーティストも自分を高めるのに必要なことであったりするので、無茶なお願いであっても頑張らなければいけません。
パフォーマンスが落ちてしまっては、公演が台無しになってしまいますからね。
公演中も公演後も働く
開場をしてお客さんが入ってきますと余程のトラブルが起きない限りは本部にいます。
余程のトラブルは結構起こりますが。
また、開演中も特にトラブルがなければ動くことはないのですが、
ロック系など演者がステージから降りる系の方々だと、めちゃくちゃ大変です。
よく映像で流れているとは思いますが、演者がステージを降りて、黒い服の人たちやスーツの人に守られているあのシーンですね。
舞台チーム、運営チーム動ける人総出で守ります。
本当に人のパワーってすごいんです。
公演が終了し、お客さんが出きったら、搬出作業が始まります。
だいたいすぐ出る用事がない場合、演者も会場を出ます。出待ちが多い場合ですと、これまた大変です。
とにかく事故、トラブルが起きないこと。それに尽きます。
せっかく楽しみにしてたコンサートが、ひとつの事故で最悪な思い出になることだってありえます。
搬出が終わり、会場さんと現場復帰の確認をします。最初に借りた状態に会場を戻してからお返しします。
そして最後に会場を出て、また次の現場に移動します。。
あるイベンターさんが言っていました。現場はいかに自分が段取りをできていたかの答え合わせだ。と。
最後に
こうやって見てみると、大変な仕事ですよね。
ただ、毎日音楽漬けの生活なので、音楽好きにはたまらないでしょう。
また、若い頃あこがれていたアーティストと仕事ができるなんていう日もやってくるでしょう。
イベンターってライブやコンサートを支える上ではかなり重要ななくてはならない仕事なのです。
ライブに行く際はそんな影で頑張っているスタッフにも注目してみてはいかがでしょう?