SCANDAL vs BAND-MAID アイドル系ガールズバンドの課題

2月14日はとにかく様々なアーティストのリリースが重なっているのだが、中でも注目したいのは「SCANDAL」と「BAND-MAID」のアルバムリリースが重なっていることだ。

ガールズロックバンド好きとしてはどちらも楽しみにしているのだが、この両バンドは音楽性は違えどコアなファンの支持を受けながら、プロモーションと音楽性に課題を抱えるバンドだと思えるので、ニューアルバムを紹介しつつ掘り下げてみたい。

デビュー10年をして確立されるSCANDALのガールズロック

今年デビュー10年を迎えるSCANDALは、清水 翔太やDream Amiなどを輩出したキャレスボーカル&ダンススクールのレッスンから生まれたグループだ。彼女達はメジャーデビューしてから10年間、そのプロモーションスタイルを試行錯誤する中で、自分達の音楽性を形作ってきた。

前作「YELLOW」ではついに全曲セルフプロデュースとなり、昨年の47都道府県ツアーと対バンツアーを経てリリースされる通算8枚目のオリジナルアルバム「HONEY」では、さらに骨太になったSCANDALならではのガールズロックが形作られている。

SCANDAL NEW ALBUM「HONEY」Trailer

メジャー2作目で世界を狙うBAND-MAIDの意欲作

2016年のメジャーデビュー前から海外公演を経験し、ラウド指向の激しい音楽性とメイド服というビジュアルのギャップをコンセプトに活動しているBAND-MAID。見た目とは裏腹な高いパフォーマンス力を持って、煩型のラウドミュージックファンに正面から挑んでいる。

今回リリースとなる2ndフルアルバム「WORLD DOMINATION」は、メジャーデビュー以降BAND-MAIDが突き進むラウド指向をさらに進化させ、目標としている”世界征服”への足掛かりを狙う意欲作となっている。

BAND-MAID / DOMINATION

ビジュアル先行のアイドル系ガールズバンドが抱える問題

さて、一通りのニューアルバム紹介が終わったところで、両バンドに代表される「アイドル系ガールズバンド」が抱える”普遍的な”問題点について書いておきたい。

きっと両バンドのファンであれば「アイドル系ガールズバンド」と括られることに異を唱える人も居るかもしれないが、両バンドがスタート時点において「ビジュアル先行」であったことは明らかだ。

つまり、バンドの音楽性ではなく「かわいい女の子」としてのビジュアル先行で「こいつはウケそうだ。」とデビューしたバンドということだ。だから、同じガールズバンドであっても「SHISHAMO」や「ねごと」「the peggies 」といった叩き上げバンドとは区別され、どこか”イロモノ”扱いされがちになる。

今回、BAND-MAIDがリリースに合わせて配信した、レーベル側がガッツリ事前チェックしている様な「日本クラウンヒット賞」受賞に関する”提灯記事”に

一見するとアイドルティックなルックスだが、秋葉原のメイド喫茶でアルバイトをしていたMIKU(小鳩ミク/ギター・ボーカル担当)が「バンドをやりたい」とメンバーを集め2013年7月に結成したもので、事務所の企画ではない。

http://japan.techinsight.jp/2018/02/maki02101912.html

とわざわざ書き添えていることを見ると、プロモーションする側でも多少気にしているのが伺える。しかし、事務所発信で無くセルフプロデュースであっても、音楽性を二の次にして「見た目重視」で売ろうとしているなら、世間の評価は同じだ。

繰り返されるアイドル系バンドの苦悩

このような「ビジュアル先行」バンドというのはミュージックシーンにおいて、まったく珍しい話ではない。言ってしまえばKISSやSlipknot、聖飢魔IIやMAN WITH A MISSIONだってビジュアル先行ではあるが、同時に独自の音楽性を発揮し多くのファンに支持されている。

デビュー時にアイドル扱いされるバンドというのもよくある話で、有名なところではチェッカーズなどもデビュー当時は自分達のやりたい音楽はやらせてもらえずアイドル扱いされていたし、ハードロック指向が受け入れられずアイドル路線を強いられたレイジーは、解散後にメンバーだった高崎晃と樋口宗孝によって世界的ヘヴィメタルバンド「LOUDNESS」を誕生させている。

関連記事→ 「LOUDNESSを懐古厨の生贄にするな」

日本に限らず世界でも同様で、ビートルズがアイドル扱いされる事に嫌気がさしていた事は有名だし、70年代に人気を博した伝説的ガールズバンド「ザ・ランナウェイズ」もプロデューサー主導の元、ビジュアル先行で「アイドル的女性ロックバンド」としてデビューし、その後メンバー個々の音楽的志向が確立すると共に、方向性の違いを理由に解散している。

The Runaways / School Days

ビジュアルの先にある独自の音楽性

現在の日本では、活発に変動しているアイドルシーンにおいて、バンドサウンドとの融合が盛んに行われ、ビジュアル先行でアイドル的なプロモーションをしているバンドとの境目が無くなりつつあるが、アイドルグループにおいても独自の「音楽性」が求められる様にもなっている。

関連記事→ 「Q’ulle(キュール)に見るアイドルとバンドサウンドの関係」

事務所主導のアイドルであろうが「ビジュアル先行」のアイドル系バンドであろうが、個々の音楽性が強く求められる状況になりつつあるのは、音楽志向のファンにとっては歓迎すべき状況だ。

SCANDALもBAND-MAIDも、”イロモノ”扱いされがちな「アイドル系ガールズバンド」から脱却し音楽志向のファンにさらに大きく支持されるためには、もっと自分達の確固たる音楽性を示していく事が求められる。

ニューリリースとなったそれぞれのアルバムによって、それぞれのバンドが持つ独自の音楽性が広く世に知られ、「ビジュアル先行」のイメージが払拭される事を願っている。

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