the peggies(ザ ペギーズ)がつくる新しいガールズロックの時代

すでにガールズロック好きの間では話題となっている3ピースガールズロックバンドthe peggies(ザ・ペギーズ)が、約2年半ぶりのミニアルバム『super boy ! super girl !!』を1月24日にリリースした。

the peggiesは昨年7月にアニメ「BORUTO-ボルト-」のEDに起用されているシングル「ドリーミージャーニー」でメジャーデビューした新鋭のバンドだ。

まさにニューカマーではあるが、the peggiesはギターボーカルを担当する北澤ゆうほが中学時代に、ベースの石渡マキコと、ドラムの大貫みくを誘う形で結成し、高校在学中より都内ライブハウスで活動を続けてきた。現在22歳となる彼女達はすでに8年近いキャリアを持っている。

3ピースガールズロックバンドの絶妙なバランス

「女三人寄れば姦しい」と昔から言われるが、女性の場合「3」という数字はバランスが取り易いのかもしれない。2010年以降SHISHAMOを筆頭にして、ちょっとしたブームの様に3ピースのガールズロックバンドがデビューしている。

the peggies / ネバーランド

今注目されているガールズバンド「リーガルリリー」や「yonige」も活動初期は3ピースであったし、インディーズで熱い支持を集めている「Hump Back」やビーイングがオーディションの末デビューさせた「Chelsy」も3ピースだ。

リッケンバッカー / リーガルリリー

yonige / さよならアイデンティティー

Hump Back / 星丘公園

Chelsy / SistAr

2000年以降ガールズバンドブームの先頭を切り、今年残念ながら解散してしまうチャットモンチーも3ピースだったが、ドラム、ベース、ギターからなる3人組みのバンドは、それぞれの演奏が際立つことでロックならでは軽快感を生みだし、透明感のある女性ボーカルが乗った時、バランスが良いということもあるのかもしれない。

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the peggies / ドリーミージャーニー

新人アーティストに求められるオリジナリティ

3ピースでなくても、現在は沢山のガールズバンドが音楽シーンを賑わせている。空前のガールズバンドブームと言っても良いだろう。

the peggies / LOVE TRIP

男女を問わず、デビューしたてのアーティストであると「○○っぽい」とか「○○のフォロワー」という風に、影響を受けたアーティストが丸分かりであったり、場合によっては「○○のパクリ」と言えるほど、先に成功しているアーティストにそっくりだったりすることがある。

これは、そのアーティストのオリジナリティが未熟である事だけが原因ではない。音楽に限ったことではないが、人間は「見たことも聴いたことも無いモノ」をスムーズに受け入れる事が出来ない。基本的に馴染みはあるが、そこにちょっとしたエッセンスが加えられていると「新しい」と認識して受け入れるのである。

プロモーションをする方も、知名度も無い新人アーティストを売りだすためには、すでに知られているアーティストに近ければマーケット予測もできるし、認知度も上げ易いという効果があるので、あえて寄せることすらある。

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the peggiesの生み出す音楽はデビュー時から、この「聴き馴染み」と「新しい」と感じるエッセンスが絶妙にミックスされている様に思う。

the peggies / グライダー

「全て」であって「唯一」なthe peggiesサウンド

北澤ゆうほの声質と歌唱はYUKIを思わせるハイトーンが特徴的だが、バックグラウンドのサウンドは時にチャットモンチーの様なソリッドさを見せたり、GO!GO!7188の様なガレージっぽい荒々しさを見せたりする。

3ピースではあるが、力強いドラムと強めのベースラインの上で、芯の強い真っ直ぐなボーカルが女性ならではの繊細な心情を歌い上げる。

the peggies / スプートニク

「○○っぽい」様でいて、そのどれでもない。「全て」であって「唯一」というthe peggiesサウンドが見事に出来あがっている。

the peggies mini Album『super boy ! super girl !!』全曲視聴トレーラー映像

時代時代で「ポイント」となるアーティストが現れる。女性ボーカルをメインにしたバンドであればレベッカやプリンセスプリンセス、judy and mary、椎名林檎やチャットモンチーなど、後に「○○っぽい」と言われるフォロワーを多く生み出すアーティストの事だ。

the peggiesも、後に多くのフォロワーを生み出す時代のポイントとなるバンドになるのではないだろうか?

そんな予感をさせるバンド、the peggiesの活動に注目していきたい。

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