5人組ガールズ・ダンスロック・ユニット「Q’ulle(キュール)」によるエイベックス移籍第1弾となるアルバム「コネクトライト」が01月17日にリリースされた。
年末から年始にかけてメジャー所からマイナーまで、引退・卒業・解散と立て続いているので、ちょっと新しくデビューするグループにも目を向けたいと思う。
Q’ulleとは?
Q’ulle はニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリに投稿する”踊り手”と呼ばれる少女を集め結成されたグループ「DANCEROID」の元メンバーにより、ダンスだけではなく歌もパフォーマンスするというコンセプトで結成。
2016年にKADOKAWA メディアファクトリーからavexへと移籍し、2017年は「Re:birth」と銘打った全国20都市23公演に渡るワンマンライブツアーを敢行。
ニューアルバム「コネクトライト」はウィークリーTOP10入りを果たしたメジャー第1弾シングル「DON’T STOP」、日本テレビ系「バズリズム」でPOWER PLAYされた「DRY AI」を含む、ひとまわり成長したQ’ulleのメジャーデビューアルバムである。
Q’ulle / DON’T STOP (avex 1st Single)
知らない人にとっては「またぞろパッとしないアイドルグループがデビューしたのか」くらいのニュースだろうが、Q’ulleは自分達をアイドルではなくアーティストであると位置付けている。その証拠に、デビューアルバムのジャケットにはメンバーの顔を出していない。
バンドサウンドを融和させるアイドル達
2010年以降のアイドルムーブメントを見ると、バンドサウンドとの融合がその大きな特徴と言えるだろう。90年代くらいまでは、いわゆるロック系のバンドのファンと、アイドルを追っているファンは「別の層」と捉えられていたが、今ではイコールとなっている。
バンドサウンドとアイドルの融合で、最も多くの支持を集めているグループと言えばBABYMETALであろう。
BABYMETAL – THE ONE
先日、BABYMETALのバックを務める「神バンド」のギタリスト藤岡幹大氏の急死がニュースになったが、ひと昔前なら”アイドルのバックバンドのギタリスト”など名前を知られるような存在ではなかった。
フロントの3人がBABYMETALの主体ではあるが、バックを務める「神バンド」を含めファンからの支持を集めており、理想的なバンドとアイドルの融合を実現している。
「楽器を持たないパンクバンド」を標榜するBiSHも、バンドサウンドとアイドルパフォーマンスを上手く融合させている。
BiSH / NEVERMiND TOUR FiNAL @ ZEPP TOKYO
まだバンドを帯同させるライブは少ない様だが、これから先大きな会場でのライブが増えれば、バンドも含めたカタチでのBiSHの認知は拡がるだろう。
関連記事「BiSHが描くガールズグループのLandscape」
所属レーベルを転々としながら10年近く活動を続けるPASSPO☆も、デビュー時から一貫してバンドサウンドにこだわり、現在ではPASSPO☆ならではのバンドサウンドとアイドルの融合を果たしている。
PASSPO☆ GPP vol.3
次世代アイドルとしてFear, and Loathing in Las Vegasのアイドル版とも言えそうな過激な音楽性で異彩を放つPassCodeなどは、バンドサウンドとアイドルの融合形態の最先鋒と言えるかもしれない。
PassCode – MISS UNLIMITED
アイドルであればフロントに立つパフォーマーが主体となるが、ロック色の強いバンドサウンドと合わせたパフォーマンスをコンセプトにするなら、バンドの音や楽曲がアイドルの活動に大きく関わってくることになる。
Q’ulleの目指すロックはどこに向かうのか?
「ロック」といっても、いくつか紹介したように楽曲やバンドの方向性により様々だ。ひと昔前の「カワイイ」からファンになるという性対象の偶像としてのアプローチに限らず、音楽性によるアプローチが成立するのが、今どきのアイドルシーンである。
Q’ulleは、楽器を演奏する訳でもなくロック系の楽曲に合わせて歌って踊るグループというだけで、なぜもっと踊りやすいテクノやヒップホップではなく”ロック”なのか?という必然性はまだ見えていない。
場所によっては「ロックダンス・ユニット」と記されている場合もあり、カタカナでロックダンスと書かれると”Lock”と”Rock”の区別が付かず、少しでもダンスを知ってる人ならE-Girlsの方がよっぽどLock Danceを取り入れてるのでは?となるだろう。
E-girls / 制服ダンス ~Diamond Only~
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とは言え、ニコニコ動画上のコミュニティでそれなりに知名度のあるメンバーで結成されたグループのデビューアルバム「コネクトライト」は新人らしからぬ聴きごたえのあるアルバムとなっている。
Q’ulle / Unite As One
ロックの持つエモーショナルな勢いを、歌とダンスでどのようにオーディエンスに伝え、沸かすことが出来るか?カメラの前で楽曲に合わせて「踊ってみた」「歌ってみた」という静的な発信で「ロック」は成立しないだろう。
自分達の歌とダンスを受け取るオーディエンスを、さらに煽り熱狂させるために何が出来るか?
アーティストとして表現し、レスポンスがもらえる「Q’ulleならではのカタチ」を作ることが出来れば、きっとその存在は揺るぎないものになるだろう。