Nulbarichが紡ぐアシッドジャズの真髄

Nulbarich(ナルバリッチ)が12月06日に 待望の2nd EP「Long Long Time Ago」をリリースする。

20年の時を経て再来するアシッドジャズムーブメント

どうやら90年代初頭にあったアシッドジャズのムーブメントが、25年の時を経て再び訪れているらしい。Suchmosのブレイクから次へ続けと、アシッドジャズのグルーブを感じさせるアーチストの活躍が目立つ。

あのMONDO GROSSOが14年ぶりにアルバムをリリースしたり、

MONDO GROSSO / ラビリンス

デビュー15年目にしてSOIL&”PIMP”SESSIONSがドラマ主題歌でブレイクしたり、

SOIL&”PIMP”SESSIONS /「ユメマカセ」

そのようなジャズファンク、アシッドジャズムーブメントの再来の中でも、”真打”と評判の高い新生のバンドがNulbarich(ナルバリッチ)だ。

Nulbarichのホンモノ度

アシッドジャズをベースとしたアーチストは、泥臭いロック系アーチストに比べれば圧倒的に知的でオシャレだ。ともすれば「意識高い系」と揶揄したくなるような、鼻につくスカした印象すらある。

それでもSuchmosは鼻歌で歌えるくらいに日本語を上手くメロディーに乗せていたり、バンドメンバーもMVやメディアに出ているので、親近感を抱けるだけの「メジャー感」を持ち合わせていて、そうした部分が広く受け入れられた要素でもあるのだが、Nulbarichはもっと無愛想で素っ気無い。そういうスカした感じに”ホンモノ”っぽさを感じる。

Nulbarichの名前の由来は「Null(何も無い)」「but(けど)」「rich(満たされている)」を意味する造語だそうだ。”何も無い”という意味で”Null”を使うところがスマートだ。ボーカルをとる”JQ”を中心にメンバーを固定せずに活動するNulbarichは、帽子をかぶったキャラクターをアイコンとして用い、アニメーションやセンスの良いMVを発表している。

Nulbarich / NEW ERA

Nulbarichは2016年にシングル「Hometown」で突然シーンに現れたニューカマーだが、その洗練された楽曲は、年代や国籍を超え耳聡い音楽ファンに衝撃を与え、情報の少なさ、無愛想さも相まって「何者だ?」と話題となった。

Nulbarich / Hometown[Teaser]

実際Nulbarichのスゴさは、時代を超越した音作りにある。アシッドジャズ全盛期のグルーブ感をしっかりと持ちながら、今風なサウンドも持ち合わせている。

Nulbarich / It’s Who We Are

古びれないアシッドジャズ

そもそも、アシッドジャズというジャンルは、80年代のクラブシーンから発生し、ジャズ、ファンク、ソウルなど黒人音楽のグルーブ感を取り入れたダンスミュージックである。
クラブシーンにおいては、HipHop、ハウス、テクノ、そしてEDMへと流行り廃りを繰り返す中、DJワークとアナログプレイで構成されるアシッドジャズは、バカ騒ぎを好まない人たちから常に一定の支持を得ている。

その古びれない感じは、アシッドジャズを代表するアーチストの楽曲を聴いてもらえば分かるだろう。いくつか紹介するが、より時代感を感じてもらうためリリースされた年の国内ヒット歌謡曲も添えておく。

Incognito / Still A Friend Of Mine (1993)


アシッドジャズといえば、まずはこのIncognitoを挙げておこう。この楽曲がリリースされた1993年はTHE虎舞竜のロードがヒットしていた。

Jamiroquai – Virtual Insanity (1996)


アシッドジャズアーチストで最もメジャーな存在であるJamiroquai。この有名すぎるMVはPUFFYのアジアの純真やSPEED のBODY&SOULがヒットした1996年の作品である。

United Future Organization / United Future Airlines(1994)


日本発で世界に衝撃を与えたUnited Future Organization(U.F.O)は1993年に世界デビューしている。2ndアルバムの1曲目を飾るこの曲は、篠原涼子の「恋しさとせつなさと心強さと」がヒットした小室ブーム全盛であった1994年にリリースされている。

どうだろう、アシッドジャズを代表するアーチスト達の楽曲は、今聴いても無茶苦茶カッコよく洗練されていて、まったく古さを感じないのではないだろうか?並べて挙げた歌謡曲のヒット曲がすでに「懐メロ」と化している中、未だに初めて聴いた時と同じ新鮮さでグルーブを感じることができるというのは、アシッドジャズの大きな魅力であろう。

Nulbarichはグルーブを繋ぐ

そしてNulbarichだ。先述ご紹介したアシッドジャズを代表するアーチスト達と並べて聴いてもまったく違和感が無い。アシッドジャズと呼ばれるべきグルーブ感をしっかりと持ちつつ、非常に研ぎ澄まされた音を作り上げている。そこがスゴい。

Nulbarich / Lipstick

今ではクラブと言えば、綺麗なお姉さんがお酌をしてくれる所しか行かなくなった「中年」と呼ばれる年代の人が、かつてはこういう曲がかかるクラブで踊っていたのだ。

もう深夜にクラブで踊る様なことは無くなっても、アシッドジャズのグルーブは身体に浸み渡り、その心をしっかりと躍らせる。

懐メロにならないクラブミュージックの担い手の登場を、歓迎し楽しみたいと思う。

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