LOUDNESSを懐古厨の生贄にするな

世界待望LOUDNESS(ラウドネス)の約4年ぶりとなるニューアルバム『RISE TO GLORY -8118-』が2018年1月26日、全世界同時発売された。これを携え今年3月より国内公演を含むバンド史上最大規模のワールドツアーが開催される。

1981年のデビューから35年以上に渡り一度も解散することなく、デビュー時からコンスタントにアルバムを出し続け、文字通り世界を股にかけ活動を続けるLOUDNESSの27枚目となるオリジナルフルアルバムは、そのバンド名を偽らない最もLOUDNESSらしい重く、厚く、激しいラウドロックを届けてくれている。

LOUDNESSとは

LOUDNESSについて、詳細な軌跡についてはファンが丁寧に加筆しているWikipediaを見てもらうとして、伝えたいのは海外において最も広く認知されている日本を代表するラウドロックバンドであるということだ。

LOUDNESS / Soul on Fire

彼らは1985年のアルバム『THUNDER IN THE EAST』で世界デビューを果たし、その後もワールドワイドな活動を続け、今も世界中に多くのファンが居るバンドなのだ。

その証拠に、今月12日に公開された4年ぶりとなる今回のアルバムのリリース告知動画の再生回数がすでに6万回近くを数え、各国から続々とコメントが寄せられている。

Loudness “I’m Still Alive” Official Song Stream – “Rise To Glory” out January 26th

もう今更LOUDNESSがどんなに素晴らしいかということは伝えたくない。なんでそんな分かり切ったことを改めて伝えなくてはならないのか?ということを、あえて問題視したい。

LOUDNESSのプロモーションターゲット層はどこか

東方からのヘヴィ•メタルの雷鳴がふたたび全世界に鳴り響く!
LOUDNESSが栄光に向かって立ち上がるときが来た!

LOUDNESSの『RISE TO GLORY』は2018年、世界のヘヴィ・メタル・シーンを35年以上突っ走ってきた男たちが栄光に向かって立ち上がるデクラレーション(宣言)だ。
~中略~
欧米、世界全土にヘヴィ・メタルの火の手が上がる。バンド史上最大規模のワールド・ツアーも予定されており、地球上のどこに隠れようが、LOUDNESSの脅威から逃げ切ることは出来ない。

これが今回の公式サイトに掲載されているプロモーションコピーだ。

いや、クソダサい。週末インチキライターの自分にも分かる。

要は「日本のラウドシーンをダメにした」と方々で言われている国内唯一の老舗ヘヴィメタル専門誌『BURRN!』の読者が好む、プロレスノリのB級コピーなのだ。

「分かってないねぇ、このノリが良いんだよ!」というオジサンが多く居るのも知っている。筆者自身、学生時代は『BURRN!』を定期購読していた身で年代で言えばそちら側だ。だからこそ、偉大なLOUDNESSにこの手のコピーを貼り付けてはいけないと思うのだ。

プロモーションに使うコピーとは、言わば「売る為」のコピーだ。LOUDNESSはこんなチンケなコピーを付けないと売れないバンドなのか?こういうコピーはTHE冠か打首獄門同好会あたりに付けとけばいいだろう。

THE冠 / イロモノ

つまり、この手のコピーに反応する層に向けてプロモーションしているのである。そういった層の厚さはいかほどのものか? 今、国内でアリーナクラスの動員が見込めるラウドなバンド、B’zやMAN WITH A MISSION、X JAPAN、BABYMETALのプロモーションでこういったコピーはあまり見かけない。

今回のアルバムの楽曲を聴いて、勢いも、クオリティもまったく衰えないどころか寧ろ増している現在のLOUDNESSに、この手のコピーを付けるのはもはや”失礼”だとすら感じる。

懐古厨専門誌『BURRN!』の罪

2010年前後に日本からデビューした新しいラウド系バンドの多くは、始めからグローバルなマーケットを視野に活動している。なぜなら、80年代『BURRN!』誌の功績によって確立された国内ラウドミュージックのマーケットは、そのまま『BURRN!』誌の編集意向に沿うように閉鎖的で排他的だからだ。

「BABYMETALは海外で大きな支持を受けているからスゴイ!」とファンは喜ぶが、それは裏を返せば、海外で評価されるまでメディアがBABYMETALを見逃していたということだ。『BURRN!』誌は海外の大物ヘヴィメタルアーチスト達がBABYMETALを評価しているのを聞いて”渋々”誌面で取り上げている。

BABYMETAL / LIVE AT WEMBLEY Trailer

X JAPANの時も『BURRN!』誌は同じような対応であったし、LOUDNESSと同世代でLOUDNESSを尊敬して止まないB’zだって、デビュー当時からハードなギターサウンドは奏でていたが、『BURRN!』誌が対象とする「ヘヴィメタル」の範疇外として取り上げる事は無かった。

二井原実 × 稲葉浩志 / Vocalist対談

『BURRN!』誌が国内ラウドシーンを縮小させた所業については枚挙に暇が無いのだが、20年前と面子が変わらない『BURRN!』の表紙を見てもらえば『BURRN!』誌が最新のラウドシーンを牽引する専門誌などではなく、死に絶えた古き良き「ヘヴィメタル」を墓石に刻むようなジジイの懐古専門誌になってしまっているのは分かるだろう。

BURRN!の雑誌一覧

若人よLOUDNESSを侮るなかれ

国内ラウドシーンの衰退は『BURRN!』一誌だけが悪い訳ではない。他のメディアも「ヘビメタならBURRN!が取り上げるでしょ。」と思っているのか、まともに取り上げない。

LOUDNESSと同時期にデビューし活動を続けているMETALLICAは、今でもグラミー賞の常連であるし、アルバムを出せばチャートの1位を獲得する。ライブはアリーナ級だし若いファンも沢山居るのが分かる。

Metallica & Lady Gaga: Pre-Grammy Rehearsal

かたやLOUDNESSは、1985年『THUNDER IN THE EAST』で日本レコード大賞優秀アルバム賞をかろうじて受賞しているだけだ。今回のアルバムリリースに際して行われるツアーも、国内会場はキャパ3,000程度のZEPクラスである。

LOUDNESS / THUNDER IN THE EAST 30th Annversary Edition

LOUDNESSは現在も世界に対して日本のロックバンドの存在を示し続けている。にもかかわらず、国内では過去のバンドとして昔話のネタにしかならないのであれば悲しい限りだ。

このLOUDNESSのニューアルバムは、若い人にこそ聴いて欲しい。世界レベルのクオリティを持つ日本のラウドロックバンドが新しい世代に広く支持されることを願って止まない。

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