
オフコースとしてデビューしてから48年。
ソロ活動からは32年。
2018年には71歳を迎える巨匠小田和正は、生ける伝説といってもいいかもしれない。
その伝説の姿は音楽ファンだけでなく、現在進行形で楽曲を作り続けている多くのアーティストに影響を与えていることがわかる。
小田和正の音楽への姿勢、取り組み方、そのすべてがミュージシャンにとっての「目指すべき場所」のようなものとして、これからも受け継がれていくことが予想されるだろう。
なぜ小田和正はそんな存在となり得たのか。
ミュージシャンの目指すミュージシャンとなった男の姿を、音楽ファンはきっちりと把握しておく必要があるだろう。
誰が聴いても小田和正であることがわかるすごさ
小田和正といえば、CMやドラマのタイアップでおなじみのアーティストとなって久しい。
そのため我々はワンフレーズでも彼の歌を耳にすれば、すぐに小田和正であることに気づくことができる。
小田和正コンサート
声だけでなく、そのメロディやピアノの旋律が、既に小田和正として確立してしまっているのだ。
それはアーティストにとって、これ以上ないほどの到達点だといえるだろう。
いつ聴いても色褪せない曲があることを証明したアーティストの1人
小田和正の活動はオフコース時代を含めて、かなりの年数となる。
70・80年代の音楽シーンを牽引した楽曲の数々は、それ以降も小田和正のソロ活動によって広まり、当時以上の輝きを見せているといえるだろう。
「言葉にできない」「さよなら」「愛を止めないで」といった曲は幅広い世代に通用する曲として、今も認知され続けているから驚きだ。
よく「時代を越えて愛される名曲」という表現は使われるが、小田和正によってその存在は間違いのないものとなっている。
特にその例は、2016年に発売されたベストアルバム「あの日 あの時」を聴くことで確認することが可能だ。
あの日 あの時
オフコース時代の名曲をセルフカバーしているこちらのアルバムは、どの世代が聴いても感動を呼ぶ名作だといえるだろう。
このアルバムを聴いていると、小田和正ほどベストアルバムを出す価値のあるアーティストはいないのではと思えてくる。
世代を自分から越えていく原動力とは
70歳を過ぎてもまだ、小田和正は現役のミュージシャンである。
定番となったテレビ番組「クリスマスの約束」の他、新曲の発表や若いアーティストへの楽曲提供など精力的な活動は止まることを知らない。
なぜ小田和正はそこまで音楽を続けられるのか。それは自分とは世代のちがうアーティストたちと、当たり前のように関わっていく姿勢にあると思われる。
ラブ・ストーリーは突然に
世代がちがえば、音楽の感覚や考え方はまったく別のものになることだってあるだろう。
しかし小田和正はそんなちがいに怯むことは決してない。
まるで同世代の友人のように、自然と溶け込んでいける力こそ、音楽を続ける原動力となっているのではないだろうか。
ゆずやスキマスイッチといった一流アーティストたちに挟まれて歌う小田和正の姿を何度か見せていただいたことがあるが、70歳という年齢を感じたことは1度もなかった。
まったく新鮮で、ちっとも古臭くない。
そう見せる力がある限り、小田和正の活動は続いていくことだろう。
続ける大切さを伝えてくれる
アーティストには、引き際が肝心だという人もいる。
しかし小田和正を見ていると、その言葉はあくまで一部の人間に当てはまるものであると思わざるを得ない。
続けることの大切さやすごさを伝えてくれる彼の存在は、音楽業界にとって刺激となることだろう。
そして2018年、小田和正はまさかの全国ツアーを開始する。
1回のライブではなく、5月から10月まで続く長期ツアーである。
このライブにはまさに、小田和正の魅力を支える「続けることの大切さ」が詰まっているように感じられた。
このニュースを聴いたとき、まだまだ小田和正の活躍が見れることを嬉しく思ったと同時に、自分が応援している他のアーティストたちが、後どれくらい活動を続けてくれるのだろうと考えてしまった。
みんなみんな、小田和正になればいい。
そう思わせてくれる彼の活動を、これからも追いかけていきたいと思う。
余談だが、この記事を書く際には小田和正と呼び捨てにするべきではないように感じたため、「さん」や「氏」を付けることを考えた。
けれど結局、呼び捨てのままとなったのは、そういった遠慮が無用のアーティストであると思えたからだ。
そんな柔らかさと身近さこそ、小田和正最大の魅力であるのだろう。