ミュージシャン星野源の音楽性を改めてチェックしよう

ここ数年で、テレビ局や所属する芸能事務所、レーベルなどのパワーを感じさせない、純粋なヒット曲と呼べるものはRADWIMPSの「前々前世」か星野 源の「恋」くらいかもしれない。
どちらも映画、ドラマのヒットによって人々に認知された曲ではあるが、ヒット曲が生まれる経緯としては正しい。

RADWIMPSはまぁロックバンドだし、本人たちがその主題歌となっている作品に出演しているわけではないので純粋に”音楽”として受け入れられているだろうが、星野 源の方は主題歌として使われたドラマに本人が主演してるし、「恋ダンス」なるブームも起きたことで、星野 源の持つ音楽家としての能力が少し軽んじられているのではないか?とも思えるので、改めてミュージシャンとしての星野 源を確認しておきたい。

ミュージシャン「星野 源」とは

星野 源はインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」でミュージシャンとしてキャリアスタートしているが、このSAKEROCK時代から舞台や映像にも関わり、俳優、文筆業など活動をマルチに展開している。そして、バンドリーダーでありながら日本アカデミー賞の新人俳優賞をはじめとする数々の映画俳優賞を捕ってしまう。SAKEROCKは在日ファンクの浜野 謙太も在籍していた、知る人ぞ知るハイクオリティなポップバンドではあったけど、いかんせんインストバンドなので大きな音楽番組に呼ばれるようなこともなく、俳優「星野 源」の方が先に広く認知されることとなった。

星野 源自身のミュージシャンとしてのソロワークは、2010年から始めている。しかし、彼にとって転機となったのは日本アカデミー賞の新人俳優賞より前の、2012~2013のくも膜下出血による長期の入院治療にある。それまでも、多岐にわたりマルチな活動をしていたのだが、どこか主軸の定まらないフワフワした感があり、音楽性においても持ち前のポップなメロディーセンスは発揮されていたが、どこか斜に構えた良くも悪くもマニアックさを持ち合わせていた。

死線を彷徨い活動休止の後にたどり着いたPOPの境地

「地獄でなぜ悪い」これが活動休止前にリリースした最後のシングル、いわば星野 源のソロワークにおける第1期最後のシングルとなる。

そして活動再開後にリリースしたシングルがこれ、

一聴?すると変わりないように感じるが、この些細な差が「恋」のヒットを生んだのだと思うのだ。ハッキリ言ってしまえば、活動休止前の星野 源であれば「恋」は生み出せなかったし、似たような曲はかけてもヒットにはつながらなかったろう。たとえガッキーが可愛く踊ってもだ。

何が違うのか?コンセプトとして、モータウン華やかしき頃のソウルやR&Bの様なダンサブルな曲がマッチしていると星野源が考えたということもあるが、本当にそれが星野 源の持つポップ性を開花させているからだ。このコンセプトとPOP性は「SUN」「時よ」「恋」の3部作PVで充分感じ取ってもらえるだろう。

このどこか突き抜けた、分かりやすいメロディーラインを持ったソウルやR&B に基づくPOP性は日本のミュージックシーンにおいては希少だ。しっかりとメッセージ性を持った日本語歌詞でありながら、スティービーワンダーやアース・ウィンド・アンド・ファイアーにも通ずるPOP性というのは、ありそうでなかったものだ。

星野 源が示す新しい日本語R&B

ドリカムや久保田 利伸、MISIA、AIなどソウルやR&Bをバックボーンに持ったアーチストは沢山いるしヒットした曲も沢山あるのだけれど、その多くは高めの歌唱テクニックに裏付けられた、ある意味「黒すぎる」楽曲ばかりで、老若男女が口づさめる、オッサンでも気軽にカラオケで歌える日本語のソウル、R&Bというのは今までなかったのだ。

万人に受け入れられる普遍的なメロディーラインを持って、日本語で歌うソウル、R&Bミュージシャンというのは、今のところ星野 源しかいない。今、時の人となってしまった星野 源はとても忙しくかつ精力的に他方面に活躍しているが、俳優としての星野 源よりも、作家としての星野 源よりも、自分としては日本のミュージックシーンをダンサブルに盛り上げる、ミュージシャンとしての星野 源のPOPなメロディーがもっと聴けることを願っている。

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