マキタマシロが狙う21世紀の昭和歌謡とは

女性シンガーソングライター「マキタマシロ」のデビューシングル「東京カラフル」が12月20日に発売となった。「マキタマシロ」とはいかなるアーチストなのか? 「昭和歌謡」を掲げるマキタマシロのプロモーション戦略が気になったので調べてみた。

「クールでドメスティック。モダンでクリシェ。昭和歌謡のディーヴァ”マキタマシロ”が待望のデビューシングルをドロップ」

この長いキャッチコピーは、彼女のデビューシングルに宛てた公式のものだ。何かを上手く伝えているようで伝わらない、期待感だけを煽る秀逸なコピーだと思う。

楽曲を聴く限りではホーンセクションを含むバックトラックが昭和歌謡を彷彿とさせるくらいで、楽曲構成や歌詞からは昭和感はそれほど感じられない。

”昭和歌謡のディーヴァ” を標榜するマキタマシロについての情報は、ネットを見る限りではあまり公開されていない。発売レーベルはヴィレバンなどで売っているカラフルなクマのフィギアで有名なメディコム・トイなのだが、公式サイトにはレーベル自体の情報が無い。

フィギアでは有名だが、音楽を扱っていたとは知らなかった。もしかしたら第1弾アーチストということになるのだろうか? なかなか先行きが不安である。

2000年以降の昭和歌謡

平成も30年を迎えようとする今、昭和生まれの筆者もすでに平成暮らしの方が長くなっている。故郷も時代も離れてみれば良く思えるもので、平野ノラやベッド・インが持て囃されたり、荻野目洋子が紅白に呼ばれてダンシングヒーローを踊ったり”古き良き昭和”が注目されている。

マキタマシロ / 東京カラフル

マキタマシロが狙う「昭和歌謡」とは、椎名林檎の登場と共に2000年以降続いている「昭和っぽい」雰囲気をもった日本独自の新しい歌謡ジャズムーブメントの流れに沿っている様に思う。

その「日本独自の新しい歌謡ジャズ」とはどんなものか、いくつかご紹介しよう。

一青窈 / 他人の関係 feat. SOIL&“PIMP”SESSIONS

名曲“ハナミズキ”で一躍有名になった一青窈の新たな方向性を示しスマッシュヒットとなったこのカバー曲は「日本独自の新しい歌謡ジャズ」の代表曲と言えるだろう。

SOIL&”PIMP”SESSIONSと椎名林檎/殺し屋危機一髪

2000年以降の「日本独自の新しい歌謡ジャズ」ムーブメントを先駆けた椎名林檎の椎名林檎らしいナンバー。昭和歌謡の特徴でもあるホーンセクションを一青窈の「他人の関係」同様SOIL&”PIMP”SESSIONSが担当しているので、飛びきりモダンでカッコいい。

EGO-WRAPPIN’ / くちばしにチェリー

デビュー20年を数える「日本独自の新しい歌謡ジャズ」の代表的なグループであるEGO-WRAPPIN’の人気を決定付けたナンバー。昭和の刑事ドラマを最大限にリスペクトした「私立探偵濱マイク」の主題歌として作られたこの曲は、今でも珠玉の輝きを放って昭和の雰囲気を我々に伝える。EGO-WRAPPIN’はオリジナル以外にもよく昭和の歌謡曲をJAZZアレンジで聴かせてくれるので、この手の音楽が好きな人は要チェックだ。

マキタマシロのキャッチコピーにある「クールでドメスティック。モダンでクリシェ。」な昭和歌謡とは、きっとここら辺の「平成」から見た古き良き昭和を感じることができる「日本独自の新しい歌謡ジャズ」のことなのだろう。

昭和を歌い継ぐアーチストたち

少なからず昭和を生きている筆者には、椎名林檎以降の「歌謡ジャズ」ムーブメントにおける”昭和感”はずいぶんと洗練されていて、商業施設の中に特設された○○横町的なノスタルジックな幻影をカタチにしたモノの様に感じる。

これらの「歌謡ジャズ」を聴いていると昭和歌謡がホーンセクションを中心としたJAZZっぽい曲ばかりの様に思えてしまうが、当然そんなことは無く他にも名曲と呼ばれる楽曲は沢山ある。

そのような「昭和の名曲」を現代に歌い継ぐ、とっておきのアーチストを紹介したい。

T字路s / 襟裳岬

まずはT字路sである。T字路sのボーカル伊東妙子は日本で最もエモーショナルなボーカリストであると言ってしまってよいだろう。この昭和の名曲「襟裳岬」がこんなにエモーショナルな歌だとは知らなかった。

他にもブルーハーツや沢田研二、憂歌団、ボガンボス、浅川マキなどマニアックな昭和の曲を数多くカバーしている。T字路sについては別の機会にじっくり紹介したいと思う。

CHAKA(Vo) / 可愛い人よ~恋のダイヤル6700

もう一人、知る人ぞ知る昭和最後期の名シンガー、あのPSY・S のCHAKA(チャカ)である。
CHAKAはPSY・Sに在籍していた頃から「チャカと昆虫採集」というユニット活動を通して昭和の隠れた名曲を数多くカバーしていた。

現在は音楽講師をする傍らライブを行っている様だが、昔と変わらない力強い歌声でJAZZアレンジした昭和歌謡を披露している。

平成もあと2年で終わりを迎えることが決まった現在、マキタマシロをはじめとする昭和歌謡をリスペクトする新しいアーチスト達が、昭和歌謡から何を受け取り、どんな音を届けてくれるのか期待している。

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