来年横浜アリーナ単独公演を行う「和楽器バンド」の魅力と2020年への期待

日本の音楽ファンは「カテゴライズしにくい音楽」というものをなかなか受け入れない気質がある。それゆえに、海外では高く評価されている音楽が日本ではヒットしなかったり、日本人がパフォーマンスしているにもかかわらず海外で先に認められて、逆輸入的に日本でヒットするなんて事が度々起こる。古くはYMOもそうだったし、最近ではBABYMETALも逆輸入的に日本で受け入れられた例と言えるだろう。

和楽器バンド

いわば日本初のスーパーバンド

そして和楽器バンドである。その分かりやすいバンド名とビジュアルは海外において熱く歓迎されている。とは言え、彼らを”ゲイシャ・フジヤマ”的な外国人ウケを狙った企画モノバンドだと思っているなら、その認識は改めた方が良さそうだ。

まぁ、ニコニコ動画の「演奏してみた」から世に出たことや、デビューアルバムのタイトルが「ボカロ三昧」であることで、ある種の偏見を抱いている人もいるかもしれない。しかし、そのデビューの経緯こそが、今まで散々やられてきている「和楽器+ポップス」という試みとは一線を画している部分でもある。

和楽器をロックやポップスに取り入れる試みは、色々なレーベルやアーチストによって行われてきたが、マンネリ化した楽曲に安易な目新しさを加えようとした企画モノだったり、既存の楽曲を日本の伝統楽器で演奏しただけというようなチープな”融合”で、メジャーに耐えうる完成度は見られなかった。

そんな中で、詩吟の師範でもある鈴華ゆう子が掲げる「伝統芸能をよりポップに世界へ広げたい」というコンセプトの元に各伝統芸能の第一線で活躍している実力者たちが、自発的に集結して結成された、いわばプロフェッショナルなスーパーバンドが「和楽器バンド」なのだ。

お金目当ての企画モノじゃない

そして、彼らがボカロ曲を題材としたのも故があるだろう。彼らの魅力を十分に発揮できる楽曲は、既成概念にとらわれない自由な発想で作られたものでなければならなかった。YouTubeにアップロードされ6000万回以上再生された、彼らが世に出る切っ掛けとなった「千本桜」という曲は元々ボカロ曲としても人気の高い楽曲ではあったが、彼らはこれを見事に昇華させ、オリジナルが彼らのためのデモだったかのようにしてしまった。

これがレコード会社やイベンター発信で作られたバンドであったなら、かつての「女子十二楽坊」のような有名曲を和楽器で演奏しただけ。というつまらないモノになっていただろう。

 

世界的なムーブメントに沿ったデビュー

その和楽器バンドの音楽的アプローチは ‘90年代後期から’00年代にかけて世界を席巻した「シンフォニックメタル」の影響が大きい。壮大な曲調にメタル然とした激しい音と、伝統的なオペラ歌唱を融合した「シンフォニックメタル」のサウンドは広く受け入れられ、ロードオブザリングやアバターのサントラとしても使用され一般化した。

その後「シンフォニックメタル」のムーブメントは、各国の伝統的な音楽との融合を活性化させ「フォークメタル」として世界に広がっている。そんな世界的な音楽的な流れを受けて、伝統的な和楽器と現代的なサウンドの融合性を日本人的に実現したものが、和楽器バンドの奏でる音楽に表れている。

だから、和楽器バンドが今の時代に生まれるべくして生まれてきた最先端のロックバンドであるということは認識しておいてほしいのだ。

目標は2020年のステージ

一流の和楽器奏者が結集して新しい音楽を生み出しているのだから、その演奏技術も音楽性もステージングさえも非常に高い。その実力はデビュー間もなくてもワールドクラスである。

デビュー5年を前に初のアリーナ公演というのは彼らの実力と目標を考えれば遅いくらいだが、まだ彼らの音楽に触れていない人はチェックしておいた方が良いだろう。

彼らは2020年オリンピックの舞台を目指している。世界各国の人々が注目するステージに、日本の伝統芸能が活かされた「和楽器バンド」が立つ事はあり得ない話じゃない。

これからも彼らは、和楽器をフューチャーした独自の音楽性で、世界を相手にその活動を拡げていくのだろう。

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