「GS」という略称をご存知だろうか。
ガソリン・スタンドでもガレージ・サウンドでもない。
「グループ・サウンズ」の略称である。
GSとはエレキギターなどを中心に演奏・歌唱を行うグループのことで、日本での「バンド」という呼称にとても近い。
活躍した時期は1960年代。
これが、今聴くと最高にかっこいいのだ。
代表的なグループと楽曲を紹介するので、ぜひとも一聴していただきたい。
失神者続出!GSの雄「ザ・タイガース」
「花の首飾り」
「ジュリー」「サリー」「トッポ」「タロー」「ピー」「シロー」と並べれば、どれかは引っかかるかもしれない。
沢田研二がボーカルをとっていたことで有名なGSで、当時はそのイケメンさからライブで失神者続出、まるで日本のビートルズだった。
ちなみに「シロー」は岸部シロー。こんなところにも有名人が!
この「花の首飾り」はさまざまなアーティストに愛された曲で、カバーしているバンドは数知れず。
カラオケでもしっとり歌えることから人気が高い。
呪いのため白鳥になってしまった女性に、花の首飾りをかけてその姿を取り戻してあげたい…という、60年代の少女じゃなくてもうっとりする曲である。
いつの間にかメンバーが増えていた「ザ・スパイダース」
「夕陽が泣いている」
「70年代のSMAP」の異名で知られるザ・スパイダース。
中心メンバーが堺正章、井上順、かまやつひろしであり、コミカルなやりとりで人気のあったグループだ。
他に「昭ちゃん」と呼ばれる田辺昭知、「カッペ」と呼ばれる加藤充、「カツオ」と呼ばれる大野克夫、「イノヤン」や「タカユキ」と呼ばれる井上孝之、「トミー」と呼ばれる前田富雄がメンバーだ。
そもそもかまやつひろしはメンバーではなかったのだが、堺正章いわく「いつの間にかメンバーになってた」とのこと。
来日アーティストの前座を務めることが多く、交流の広いグループだった。
ショーケンのかっこよさにシビれろ!「ザ・テンプターズ」
「エメラルドの伝説」
GS最盛期時代の功労者といえば、ザ・テンプターズを外すことはできない。
とあるイベントに招かれて演奏することになった彼らは、当日ボーカルの体調不良でバンドのみでステージに立つことになる。
しかしブーイングが巻き起こり、急遽会場から指名したボーカルが「ショーケン」こと萩原健一である。
その後ショーケンはザ・テンプターズに加入し、正式にボーカルとなる。
このショーケンの歌い方が最高にエロい!
鼻にかかった甘い声が耳に侵食してきて、ゾクゾクすること間違いなし!
ロマンティクな世界へ…「ブルー・コメッツ」
「ブルー・シャトウ」
メンバーの脱退と加入が多かったことでも知られるブルー・コメッツ。正式名称は「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」である。
この「ブルー・シャトウ」は第9回レコード大賞を受賞した曲で、若者でも「なんか聴いたことあるかも…」となるかもしれない。
なんとびっくり、解散はしていない。
現在は「COMETS(コメッツ)」という略称で活動している。
セクシーな歌声とロマンチックな歌詞で、大流行したグループである。
GSは現在も生きている!現代のグループ・サウンズ
さて、1960年代に活躍し、1970年代にはそのグループほどんどが活動を終わらせたGSだが、実は現代にもGSは存在する。
ザ・キャプテンズ「恋のスナイパー」
自称「最後のグループ・サウンズ」であるザ・キャプテンズ。
ボーカルの傷彦はなんと薔薇から生まれた貴公子を名乗っている、大変キザなキャラクター。
「恋の〜」や「失神〜」というワードを多用するところが、古き良きGSをリスペクトしつつも現代風に風刺しているのが見て取れて良い。
キノコホテル「もえつきたいの」
60年代GSと70年代フォークソングの流れを組む女性バンド。
ハスキーでセクシーな歌声と、懐かしさを感じるメロディが親和性が高い。
現在はプログレ的楽曲も発表しているキノコホテルだが、この「もえつきたいの」はうまい具合にGS要素を取り入れたサウンドだ。
このバンドたちの活躍も目覚ましいことながら、GSの「ソウル」のようなものはさまざまな楽曲にみてとれる。
「ネオGS」というジャンルが生まれたこともあり、今後さらに注目したい音楽ジャンルだ。
文=阿部春泥