音楽オタクのオジさんが記事100本書いてみた結果。「音楽ライター」への道

音楽オタクのオジさんが記事100本書いてみた結果。「音楽ライター」への道

昨年秋からこちら”音楽を中心としたエンタメ情報やオリジナルコラムを配信するウェブマガジン!「Squize」”さんのサイト上で”かなり自由に”コラムを書かせていただいているのだが、今回の記事で100本目となるので、本当に個人的なことで恐縮だが筆者の言い訳も含め振り返ってみたい。

はじめに伝えておきたいが筆者の本職はWEBディレクターであるということ。そして、筆者が提供している記事は「音楽をネタにした“SEOライティング記事”」であるということだ。だから本職の「音楽ライター」の仕事とは全く違う姿勢と視点で文章を書いているということは承知してほしい。

SEOライティングと音楽ライティングの違い

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SEOライティングとは何か?といえば簡単にいうと「検索に引っかかりやすい記事を書く」ことである。美容や健康、子育て、就職など細かいカテゴリーごとに世の中には多くのSEOサイトがあり、それぞれのサイトで日々様々な記事が更新されている。

それらのサイトでは記事を読むために集まってきた人に広告を掲示し、その広告のクリックや購買に応じた成果報酬によって利益を生み出しサイト運営を維持していく。だからまず、SEOライティングには「人を集める」記事内容が求められる。

一方、本職の音楽ライターは同じ音楽にまつわる文章であってもその目的は違ってくる。“人を集める”のは本来であればメディアの仕事であってライターに課せられるものではない。本職のライターは多くの人が閲読するメディアの上で“何を”伝えるか?が求められる。

その内容はアーティストのインタビューであったり、ライブレポートであったり音楽批評であったりするが、いずれにおいても「音楽業界に関わる人間」としての経験や知見で、一般の人では手の届かない掘り下げた情報を読者に届ける。

SEOライティングは簡単?

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本職の音楽ライターに比べてSEOライティングは、好きな音楽について感想文を書くだけの一見簡単な仕事の様に思える。確かに文章が書ける人なら誰でも始めることができるし、誰でも簡単に始められるが故、その相場は一文字1円程度と本職のライターと比べれば10分の1以下のギャランティではある。

しかし、本当に「人を集められる記事」が書けるライターというのは一握りだ。人を集める記事をコンスタントに書くというのは本当に難しい。AKBやジャニーズなどのヨイショ記事でも書いておけば人は集まるだろうと安易に考えても、なかなかそうはいかない。普段はライターに依頼する側の仕事をしながら、このサイトで自分の得意なジャンルのライティングをしてみて実感したことだ。

私はライティングについて素人なので、ひと記事書くのに3〜4時間はかかってしまう。ぶっちゃけ「儲け」だけを意識したら全く割りに合わない。

ただ、自分の書いた記事に対する反響の大きさは、お金には変えられない喜びがある。

これは、音楽やイラスト、デザインなどに携わる”アーティスト”にも通じる感覚であろうが、自分が生み出したものに対する反響が得られるのは、その内容がたとえネガティブなものであってもありがたいものだ。

例えば、『Reiが日本で一番上手いソロギタリストなんじゃないか説』『FLOWER FLOWERに見る「大人の」バンドスタイル』などの記事はアーティストの公式Twitterアカウントでリツィートされ多くのファンに届くことになったし、『SOLEILに見る”まる子と友蔵”的「渋谷系アイドル」の姿』などは失礼な内容ながら、ステージ上のMCでネタにされたそうだ。

個人のブログではこのような反響は得られない。そういう意味では、たとえ割りに合わないSEOライティングであっても、自分自身の「伝えたいこと」を記事として公開することには大きな意義があると言えるだろう。

SEOライティングならではの優位性

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もう一つ、フリーテーマでSEOライティングを重ねる中で気づいた事がある。

私の書いた記事の中で、最も大きな反響を得たのは『ももいろクローバーZが「ももいろ歌合戦」で上げた狼煙』という記事であるが、この記事についてはギリギリまで寄稿を躊躇っていた。

何故なら、あの年末の特別プログラムは誰が見ても明らかに「特異」であったし、あのプログラムを観たものであれば、そこに大きな“意義”があると感じられるものであろうと思われたからだ。

だから、私のようなインチキライターによるSEOライティング記事ではなく、ナタリーやオリコン、BARKSといった、しっかりした資本が入った大手エンタメサイトで、本職の音楽ライターに取り上げてもらいたかったのだ。

でも、どのメディアも書かない。書いても「豪華なゲストを呼んでカウントダウンライブを行いました。」としか伝えない。多分“何か”に忖度したのか、本職のライターの目にはただの「カウントダウンライブ」としか映らなかったのだろう。

仕方なく、おずおずと寄稿したその記事への反響の大きさに正直慄いていた。普段は企画書に「口コミでの拡散」とか「バズマーケティングを狙う」とか気軽に書いていたが、実際に自分の書いた記事が大きく拡散する様を見るのは貴重な体験となった。

つまり、本職のライターや大手メディアでは「気を使って」書けないこと、書かないことがある。メディアの都合で取り上げないアーティストが居る。

SEOライターに「取材費」などは出ない。しかしメディアやレーベル、芸能事務所から取材費やギャランティを受け取っている本職のライターには書けない記事が書ける。そしてSEOメディアではアーティストやレーベルにおもねることのない記事が書ける。

この利点は、メディアとして非常に大きいと思える。

音楽系ライティングのススメ

音楽好きな人たちはWEBの記事を読むときには、そのサイトがどんな種類のサイトなのか少し意識すると、その記事の内容も芸能村発信の“提灯記事”かそうでないのか見極めることもできるだろう。また、バンドやアーティスト、芸能界について一家言ある人は、SEOライターとして記事を発信して見るのもいいと思う。

TVの歌番組を見ても分かる通り、大手メディアは資金力や政治力のある団体がいいように情報発信できるメディアになっている。

そういったメディア発信力を持っていないけど、素晴らしい音楽を作り出し良いパフォーマンスを提供するアーティストを、ささやかながらこれからも応援していけたら幸いである。

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