FLOWER FLOWERに見る「大人の」バンドスタイル

FLOWER FLOWERが、3月14日に3年半ぶりとなるセカンドアルバム『スポットライト』をリリースした。

このアルバムのリリースと合わせて、3月25日の大阪城野外音楽堂ライブを皮切りに、バンド結成5年を数え初の全国ワンマンライブツアーを行う予定となっている。この期に満を持して遂に本格始動しはじめるFLOWER FLOWERの魅力をお伝えできればと思う。

大人なロックバンドFLOWER FLOWERとは

FLOWER FLOWERは2005年にデビューし、翌年には映画「タイヨウのうた」で新人俳優賞を受賞したシンガーソングライターYUIが、ソロアーティストをドロップアウトした後に結成されたバンドだ。

もちろんバンドの核となるのは、ソロ時代の名を小文字表記に変更した”yui”であるが、楽曲を聴いてもらえば分かる通りバンドメンバー各々の音楽性がしっかりと活かされ、ソロアーティスト”YUI”の音楽性を継承しつつ、バンドサウンドとして昇華されている。

FLOWER FLOWER / パワフル

それもそのはずで、yui以外のメンバーもキーボードを担当する村山☆潤をはじめ、いずれもミュージックシーンで実績のあるメンバーが結集しており、yuiの持つ音楽性を活かしつつしっかりとFLOWER FLOWERとしてのサウンドを作り上げている。

FLOWER FLOWERが示すソロアーティストとバンドの関係

すでにソロアーティストとして知名度を持ったメンバーをフロントに立てて活動するバンドの形態といえば「東京事変」が有名だが、正直「東京事変」はソロアーティストである”椎名林檎”とのシームは無い。

例えば、椎名林檎がソロのライブで「人生は夢だらけ」の後に「女の子は誰でも」を歌い出しても何ら違和感が無い。

東京事変 / 女の子は誰でも

つまり、東京事変と椎名林檎の音楽性はほぼイコールなのに対し、FLOWER FLOWERは、中心人物であるyuiの音楽性を内包しつつFLOWER FLOWERとしてのサウンドを作り上げている。

FLOWER FLOWER / 時計

FLOWER FLOWERの楽曲を聴くと、yuiがYUIとしてのキャリアをリセットしなければならなかったのも納得ができる。YUIがYUIのままFLOWER FLOWERのサウンドを生み出す事は不可能であったと思えるからだ。

FLOWER FLOWER / マネキン

そういう意味で、FLOWER FLOWERのバンドとしての存在意義は「東京事変」を上回っているし、バンドメンバーそれぞれの音楽性が融合して形作られる、その音楽性のポテンシャルは高いと言えるのではないだろうか。

FLOWER FLOWERの大人度

これもFLOWER FLOWERの前に、YUIとしてのキャリアがあるから分かる事だが、YUIが持っていたパブリックイメージと、FLOWER FLOWERのパブリックイメージは全く違う。

どちらが”売れ線か?”といえばYUIの方だろう。YUIが口火を切った「ギター女子」バブルも下火になったとはいえ、未だに「アコギを抱えた女子」のイメージは様々なアーティストのプロモーションイメージに使われまくっている。

関連記事→ 「井上苑子に見る「ギター女子」ブームの行方」

別にギターはアコギだけじゃないし、アコギを弾くのは女子だけでもないだろうけど、カワイイ女性とアコギの組み合わせは、自立した女性のアーティスト性を示すのにマッチしているし、そのイメージの「パイオニア」とも言えるYUIに、昔のパブリックイメージを求める声は未だに高い。

YUI / LIFE

そういった、音楽造詣の浅い”お子様”にも分かり易い「安易なパブリックイメージ」を捨ててバンドサウンドを求めたyuiを、バンドメンバーの一員として成立させているFLOWER FLOWERは、大人としての自立性を持ったバンドであると感じる事ができる。

yuiと共に”女の一生”を紡ぐFLOWER FLOWER

FLOWER FLOWERは2013年には活動を開始しているが、翌年からその活動を停滞させることとなる。それはフロントマンであるyuiがパニック障害と診断されたことと、プライべートにおいて2015年から「結婚」「妊娠」「出産」という体験を経たためである。

FLOWER FLOWER / 命

バンドスタート時に3年塩漬けにされれば、普通なら解散したっておかしくない状況ではあるが、それぞれにキャリアのあるメンバーはyuiの女性としての生活を見守りつつバンドとしての活動を続け、この度のセカンドアルバムリリースに至っている。

それは、それだけFLOWER FLOWERのメンバーがyuiの音楽性に信頼を置いている証でもあるだろう。バンドとしては理想的と言えるのではないだろうか。

そしてついに、FLOWER FLOWERはセカンドアルバムをリリースし、動き始める。多くの「ギター女子」の憧れでもあり、自立した女性アーティストの象徴でもあるyuiの音楽性を昇華させたFLOWER FLOWERの活躍に期待したい。

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