BRADIOのジャパニーズファンクが日本のファンク許容値を更新する

BRADIOのジャパニーズファンクが日本のファンク許容値を更新する

数々の音楽系フェスにおいて、その軽快かつ骨太なファンクサウンドが人気を呼んでいるBRADIO(ブラディオ)が、7月4日にメジャー1stフルアルバム「YES」をリリースする。

“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに、昨年10月に70年代のソウルR&B感が最高に気持ちいいダンスチューン「LA PA PARADISE」でメジャーデビューした彼らは、数々の対バンや国内外の音楽フェスへの出演を重ね着実に認知を広げている。

アフロヘアが特徴的なボーカルの真行寺貴秋を中心に、ギターの大山聡一とベースの酒井亮輔で現在活動しているBRADIOは2010年に結成され、2013年には1stアルバム「DIAMOND POPS」をリリースし、アニメやドラマの主題歌への起用など実績を重ねてきた。

メジャーデビュー後の今年1月に残念ながらドラムの田邊有希が脱退してしまい、新体制でアルバムリリースを迎えることになったBRADIOであるが、アルバムリリースを受け9月より”全公演対バン”でのリリースツアーを予定している。

BRADIOが誘う「ファンキー・パーリー・ピーポー」への道

彼らは自分たちの指向するファンクにこだわりを持ち、自分たちのファンを「FUNKY PARTY PEOPLE」と呼ぶ。

BRADIO / LA PA PARADISE

“ファンキー・パーリー・ピーポー”

カタカナにするとなかなかのインパクトだ。「あなたは”ファンキー・パーリー・ピーポー”ですか?」と問われてもシラフではなかなか「YES!」とは言えない。

だから、BRADIOの楽曲を聴いてファンになるということは”そういう世界の住人になる”ということを覚悟しなければならない。

日本人と「ファンク」の関係

そもそも「ファンク」という音楽ジャンルは、全く日本に馴染んでいない。

BRADIO / きらめきDancin’

ファンクの歴史自体もそれほど長いわけでは無いが、それでもその後に発生した音楽的なムーブメントであるパンクやヘヴィメタル、テクノなどは国内のミュージックシーンに早々に取り込まれ、アイドルソングや歌謡曲、ミクスチャーとして独自の展開を見せている。

対して「ファンク」に関しては未だに”パロディ的”な取り上げ方が多いように感じる。

先日リリースされたENDRECHERIのアルバムなどは本当に稀有な例で、一般に広く知られたファンクグループといえば、今なら池田貴史率いる「レキシ」か、名は体を表す「在日ファンク」、少し遡ってバブルガムブラザースやラッツアンドスターの名前が上がるくらいだろうか。

関連記事→ 「ENDRECHERI(エンドリケリー)が示すジャニーズの可能性」

レキシ / きらきら武士

在日ファンク / それぞれのうた

広く捉えるなら、星野源やドリカム、平井堅、EXILEから「USA」が話題のDA PUMPだって”ファンク”でくくれるのだが、彼らはブラックミュージックからの影響の一端として”ファンク”の要素も取り入れているに過ぎない。

そもそも「ファンクとはなんだ?」「ファンキーとはどういった状態なんだ?」と言うことを捉えるのは難しい。矢沢永吉が「ファンキーモンキーベイべー」と例えた”君”がどんな人物像なのか分かっている人は少ないだろう。少なくとも筆者は全くわからない。

ヒット曲が示す日本人のファンク許容値

ファンクの本質は分からないながらも、ファンクサウンドの格好良さは分かる。となれば、コピーするしかない。と言うことで、自分が”格好いい”と思うファンクを真似するのだが、日本のバンドで、そこから先に進んでいる楽曲をあまり聴いたことがない。

いや、そこから先に進んだ「ジャパニーズ・ファンク」なヒット曲は山下達郎や米米クラブ、ドリカムなどにより定期的に世に出ており、ファンク味が薄過ぎてそう感じないだけで、それらの曲は確かに”日本独自のファンクサウンド”と言えるのかもしれない。

米米CLUB/Shake Hip!

ここ20年で最も「ジャパニーズ・ファンク」なヒット曲といえば、ウルフルズの「ガッツだぜ!」はその候補となる楽曲と言えよう。

ディープなファンクファンからすれば「あんなものはファンクではない」と言いたくなるかもしれないが、日本人の多くがあのノリを理解し、歌い、ヒットしたことを踏まえれば、あのノリが日本人の平均的な「ファンクの許容値」と捉えられるのではないだろうか。

ウルフルズ / ガッツだぜ!!

実際にファンクの要素を持ちながらヒットしている楽曲を並べてみれば、あの曲よりも「ブラックミュージック寄り」のファンクサウンドというのは国内でヒットしていないように思う。

BRADIOが日本人を”FUNKY PARTY PEOPLE”に変える

ここまで国内のファンク事情について四の五の述べてきたが、つまりはBRADIOの奏でるファンクが日本人のファンク許容値を更新するんじゃないか?と思っているのだ。

BRADIOのファンクは一聴すると洋楽ファンクのパクリのようにも聞こえるが、日本語歌詞が乗った日本人のファンク許容値に収まるラインで、ファンクファンでない人でも十分に”ノレる”楽曲を聴かせてくれる。

BRADIO / Boom!Boom!ヘブン

それでもBRADIOはしっかりファンクに根ざしているので、BRADIOをキッカケとしてEarth, Wind & FireからKool & the Gang、The Isley Brothers、Bootsyくらいまでは辿っていけるだろう。

そういった往年のファンクサウンドに触れて、ファンキーなノリを楽しめるのならば、それは確かに”FUNKY PARTY PEOPLE”と呼ばれるに相応しいかもしれない。

BRADIOの示す「ジャパニーズ・ファンク」が、多くの人を”FUNKY PARTY PEOPLE”に変えていくのを期待している。

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