GIRLFRIENDの後ろにいる大人達にモノ申す

平均年齢17歳の4人組ガールズバンドGIRLFRIENDが2月21日にファーストメジャーアルバム『CHOCOLATE』をリリースする。

GIRLFRIEND は2015年から大阪を中心に活動を開始し、翌2016年には平均年齢15歳という若さでワンマンライブを開催すると共にテレビ朝日「musicる TV」でのレギュラー出演をスタートさせ、同年8月、大阪青山大学のCMソング「走れ!!!!」を含むファーストミニアルバム「Hello」でインディーズデビュー。そのまま11月にはアニメ「双星の陰陽師」EDに起用されたシングル「15/Hide & Seek」でメジャーデビューを果たした

現在、全国19カ所をまわる対バンツアーを開催中の彼女達は、3月24日の東京・渋谷クラブクアトロでのワンマンライブを予定している。破竹の勢いを見せるGIRLFRIENDのメジャー快進撃が今、始まる。
っと・・・このくらい書いておけばプロモーションの一助にはなるだろうか。

プロモーションの邪魔立てをするつもりはないが、仕掛け方が明け透けすぎてリスナーをバカにしているような気もするので、ひとこと言っておきたい。

新生ガールズバンドGIRLFRIENDとは

SCANDALを輩出した、大阪の名門スクール「キャレスボーカル&ダンススクール」出身!
メンバー全員が作詞作曲を手掛け、平均年齢17歳とは思えない“音楽性”“パフォーマンス”、
そして“ルックス”をも併せ持つガールズバンド「GIRLFRIEND」!

・・・この公式紹介コピーを見る限り、手前味噌過ぎて逆にインスタントなアイドルバンドであることが際立ってしまっている。

こういう見え透いたプロフィールと、タレントスクール出身、テレビ朝日ミュージック所属、avex traxからリリースというバックグラウンドと合わせると、年端もいかない子供使って儲けようっていう残念なイメージしか湧かない。

GIRLFRIEND / ミライリスト(「テイルズ オブ ザ レイズ ミラージュ プリズン」テーマソング!)

バックグラウンドがどうであれ音楽に罪は無い。リリースされている楽曲はノリも良いし、ボーカルの歌い分けも新鮮だ。しかし、同じような声質のメンバー間で、なぜ歌い分けをしているのか、という必然性は謎だ。

タレントスクールとテレビ局、大手レーベルがタッグを組んでバックアップしているだけあって、タイアップもばっちりである。デビュー間もないながらしっかり聴きごたえのある楽曲を、課題提出するかのようにコンスタントにリリースしている。

GIRLFRIEND / Hide & Seek

意地の悪い言い方をすれば、弱冠17歳の女の子バンドがこれだけのバックが付いた中で、「売れそうにない自分の信じる音楽」をリリースするには、相当自立したアーティスト性を確立していなければできない。

椎名林檎は、デビューする際に当初の担当ディレクターの要求を突っぱね、亀田誠治とタッグを組んで作品を作り上げ成功した。Suchmosが業界の商業路線に挫折した末に結成され、自分達の信じる音楽を作り上げ成功した話も有名だ。

GIRLFRIEND / キセキラッシュ

GIRLFRIENDは弱冠17歳にして「売れ線ど真ん中」な楽曲が書ける4人が集まったまさに”キセキラッシュ”なバンドということだ。さすがは「名門」を自称するタレントスクールで学んだだけの事はある。「SCANDALはわしが育てた」と言うようなスゴ腕講師にキッチリ仕込まれたのだろう。

脆弱なプロフィールから垣間見える即席感

GIRLFRIENDのサイト記事では「平均年齢17歳」で「現役女子高生」であることが殊更にアピールされているが、自分の音楽を表現するのに年齢は重要ではない。17歳でも20歳でも30歳でも、良い音楽を作り出すバンドであれば自ずとファンは付くだろうし、それが「真っ当」なバンドの在り方だと思う。

つまりは「平均年齢17歳」なのに、しっかりした音楽性がある。「現役女子高生」なのにメンバー全員が作詞作曲を手掛ける。そして歌える。というところに付加価値をつけて、数多居るガールズバンドとの差別化を図りたいのだろうが、それは浅慮に過ぎると思える。

なぜなら、ボーカルのレッスンをして作詞作曲をの仕方も教え、しっかりした音楽性を育てるタレントスクールの出身ならば「そりゃ出来るでしょう。」と思えるし、レッスンの延長であれば課題としてメンバー全員が作詞作曲を手掛ける事も想定範囲を越えてはいない。

GIRLFRIEND / 一直線

SCANDALもGIRLFRIENDもメンバー名表記が名前のローマ字表記なのだが、キャレスボーカル&ダンススクールの講師も、そのほとんどが名前のローマ字表記なところは「お里が知れる」というところだ。きっと千尋のように、漢字と名字は”贅沢”だから取られてしまうのだろう。

「キャレスボーカル&ダンススクール」インストラクター一覧

SCANDALさんの「LOVE SURVIVE」をGIRLFRIENDが歌ってみました!

SCANDALが踏み越えた迷走の10年を再び繰り返すか?

こんなの見え透いたプロフィールを掲げるなら、始めから「キャレスボーカル&ダンススクールが自信を持って放つ本格ガールズバンド第2弾」とでもした方がよっぽど潔いと思うが、コケた時の保身のためか変に誤魔化そうとしているのが気に入らない。

GIRLFRIEND / 360

キャレスボーカル&ダンススクール出身の先輩バンドSCANDALは、デビュー時からメンバーが作詞を手掛けてはいたが、楽曲は阿木燿子・宇崎竜童の黄金コンビから中田ヤスタカ、浅倉大介、古坂大魔王など節操無く提供を受けるも泣かず飛ばずで、その長い活動の中でセルフプロデュース力を付けデビュー10年目にしてようやく独自の音楽性を確立し、支持を得られるまでに成長した。

関連記事→ 「SCANDAL vs BAND-MAID アイドル系ガールズバンドの課題」

若い才能にチャンスを与え、活動を支援することは素晴らしいことだ。ただ、まだしっかりした音楽性も確立されていない若者を担ぎ上げ、エンターテイメントビジネスで儲けようというのなら、バンドやそのファンを騙すような真似をせず、堂々と自立したアーティストに育てていって欲しいと願うばかりだ。

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