SOLEILに見る”まる子と友蔵”的「渋谷系アイドル」の姿

SOLEILに見る"まる子と友蔵"的「渋谷系アイドル」の姿
SOLEIL

伝説的ネオGSバンド「ザ・ファントムギフト」のサリー久保田がプロデュースするバンド「SOLEIL」が、メジャー1stアルバムとなる「My Name is SOLEIL」を3月21日にリリースした。

SOLEIは、ゆる~いサブカルアイドルデュオグループ「たんきゅんデモクラシー」のメンバーであった “それいゆ(14)”が同グループ卒業後にソロとして活動する中で、元「ザ・ファントムギフト」のサリー久保田(57)と、「ましまろ」の中森泰弘(59)が加わりバンドを結成。

2017年9月に1stシングル「Pinky Fluffy」をリリース。全編モノラル録音で制作され60年代のスウィンギング・ロンドンを強く意識した音とビジュアルが話題となった。

お洒落でPOPでゴージャスな60年代リバイバルバンド「SOLEIL」

“それいゆ”のソロプロジェクトが発端となったバンド「SOLEIL」であるが、1stアルバムにはメンバーであるサリー久保田と中森泰弘の他にもザ・クロマニヨンズの真島昌利(56)やカジヒデキ(50)、かせきさいだぁ(49)、近田春夫(67)、GREAT3の白根賢一(50)や元ピチカート・ファイヴの高浪慶太郎(57)など錚々たるアーティストが参加しており、すでに伝説級のアルバムとなってしまっている。

SOLEIL / Pinky Fluffy : Breakout

アナログにこだわったレトロなバンドサウンドは、パチンコ台のBGMにも似たインパクト重視の打ち込みや、ライブでの盛り上がりを意識しゴリゴリに盛り上げたラウドな楽曲が多いアイドルシーンの中で新鮮な輝きを放っている。

SOLEIL / 恋するギター(詞・曲:真島昌利)

しかし、筆者は”それいゆ”よりもバックを務めるアーティストに近しい世代だからかもしれないが、これだけの面々が集結して「なぜフロントが中学生なのか?」ということが、まだ上手く飲み込めていない。

SOLEIL / 魔法を信じる?

「それいゆ」ありきのプロジェクト「SOLEIL」

14歳の中学生“それいゆ”のソロプロジェクトに、親世代を上回る往年のアーティスト達が集結した経緯は気になるところだ。“それいゆ”と、周りを固めるアーティストたちの年齢差をイメージし易いよう、参加している方々の年齢もカッコで表記させて頂いた。

事の経緯は、サリー久保田が率いるバンド「サリー・ソウル・シチュー」のボーカル” Lemon”の姪が”それいゆ”であり、小さい時から顔見知りであった関係で、「たんきゅんデモクラシー」を卒業した“それいゆ”にサリー久保田が声をかけたのがきっかけだそうだ。

関連リンク→ 「それいゆ インタビュー」

幼女偏愛をこじらせた訳でもなく、どこかの芸能事務所のゴリ推しというわけでもない、スターを夢見る知り合いの娘さんの為に一肌脱ぐ熟練ミュージシャンとその仲間たち、という”ちびまる子ちゃん”的な「ホッコリ」したイメージが浮かんで、人の親としては一安心である。

SOLEIL / MARINE I LOVE YOU

しかし、それはそれでなんだか「上司が自慢げに見せる孫の写真」を見させられる心持ちにも似た座りの悪さを感じないでもない。

ハーフ顔の“それいゆ”は、まぁ「かわいい」し将来が楽しみなタレントではあるが、知らない家の娘さんなので思い入れは薄い。あの楽曲に14歳のボーカルである必然性は無いので、正直「ちゃんと歌えるボーカルが、もっと他にいたのでは?」とも思えてしまう。

実際、14歳で“それいゆ”以上に「歌える」アイドルは山ほどいるのだ。“それいゆ”の歌唱に関しては特筆する所のない14歳然とした舌足らずな声で、うがった見方をすれば”それいゆ”の歌唱力が”アレ”だから、スウィンギング・ロンドン的なまとめ方をしたとも思える。

噂の14歳ボーカリスト それいゆ を擁するバンド ”SOLEIL“ Debut!

正統派「渋谷系アイドル」の誕生

とはいえ、奇跡的なめぐり合わせで素晴らしいアルバムが生まれた事は確かだ。

特筆したいのは、90年代のアイドル氷河期と重なる様にブームとなった「渋谷系」に見られたポップ性が、その当時を過ごしてきたミュージシャンたちによって、現代のアイドルシーンと見事に融合された事である。

90年代にブームとなった「渋谷系」において持て囃されたスウィンギング・ロンドンの雰囲気を「SOLEIL」は見事に再現している。

FLIPPER’S GUITAR / 恋とマシンガン

Pizzicato Five / Baby Portable Rock

渋谷系の代表であるピチカート・ファイヴの小西康陽もNegiccoの楽曲をプロデュースしているのだが、「SOLEIL」ほど渋谷系の雰囲気は出せていない。これはこれで”名曲”ではあるが、「SOLEIL」の楽曲を聴いてしまうと、リスナーが小西康陽に期待するものは表わされていない様に思う。

Negicco / アイドルばかり聴かないで(小西康陽プロデュース)

そういうことを考えると、アイドル10年選手であるNegiccoでは表現できないものを「SOLEIL」は持っているのだろう。

移ろう少女の特性を最大限に活かし「今しか聴けない」歌声を抽出して、極上の楽曲に仕上げた「SOLEIL」の作品は、応援するアイドルの成長ストーリーを楽しむ現代のアイドルブームとは違う視点で捉えるべきなのかもしれない。

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