ビッケブランカのキメラポップスが米津玄師も星野源も食っちゃうかもしれない話

その名を知る人の多くに「ブレイク必至」の呼び声高いビッケブランカが4月18日にメジャー1stシングルとなる『ウララ』をリリースする。

同シングルに収められている「Black Rover」は、第一期の感覚ピエロ、第二期のBiSHなど注目アーティストの起用が続く”少年ジャンプ”アニメ「ブラッククローバー」の第三期オープニングとして書き下ろした楽曲だ。

ビッケブランカには珍しい、ハイテンポでマイナーなMuseを彷彿とさせるハードロックチューンで、ビッケブランカの止めどない才能の拡がりを垣間見せる一曲となっている。

ブレイク必至?ビッケブランカの可能性

ビッケブランカは2014年よりインディーズで活動しており、2016年にはavex traxよりミニアルバム「Slave of Love」でメジャーデビューを飾っている。

ビッケブランカ / ウララ

ビッケブランカは、綺麗めなピアノの旋律をメインにしたキャッチーでポップな楽曲と、クリアなファルセットボイスのボーカルが特徴的な新進気鋭のシンガーソングライターだ。

メジャーデビューミニアルバムのリードトラック「Slave of Love」は、聴いて分かる通り”Queen”を彷彿とさせるものだが、それだけではなく実にさまざまな要素がミックスされ、ビッケブランカの深い音楽知見を垣間見る事ができる。

ビッケブランカ / Slave of Love

様々な要素が溶け込み、どこかで聴いた事がありそうだが、新しさが感じられる音楽というのは、非常に大きなブレイクを引き起こす可能性を秘めている。

ビッケブランカに内包される様々な音楽性

料理というものは、今まで食べてきたものの風味も感じられながら、それらが合わさった時に絶妙なバランスで新しい風味が感じられると、人は「美味しい」と判断することができる。

逆に、まったく味わった事が無い未知の味覚には、美味い不味いの判断は付かないものだ。

音楽も料理と同じで、聴いたことのある音楽要素によって耳馴染みを覚え、その要素の掛け合わせ方や濃淡のバランスに、声質や音質の好みを加え「好き・嫌い」の判断をするのが一般的だろう。

ビッケブランカ / 秋の香り

ビッケブランカのプロフィールを見ると、影響を受けたアーティストとしてマイケル・ジャクソン、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエル、ミーカなどの名が挙がっているが、その他にも実に様々なアーティストの要素を感じ取ることが出来る。

ピアノをフロントに置いたロックバンドとして90年代後期に一世を風靡したBen Folds Fiveの軽快感や、

Ben Folds Five / Battle Of Who Could Care Less

2000年以降、ドラマチックな楽曲で絶大な人気を誇るMuseにも似た楽曲の広がり

Muse / Mercy

明るいアメリカンパワーロックとピアノの融合でヒットし、日本語楽曲のカバーでも有名なANDREW W.K.のパーティ感

Andrew W.K. – She is Beautiful

または、その明るいメロディとファルセットの使い方にアメリカンハードロックバンドThe Darknessの風味を感じる事も出来る。

The Darkness / I Believe In A Thing Called Love

他にも、美しいピアノの旋律とファルセットボーカルは、日本においてビートルズ並みの人気を誇ったMichel Polnareffをも彷彿とさせる。

Michel Polnareff / Ame Câline

とまぁ、筆者の個人的音楽嗜好がダダ漏れになってしまったが、聴く人によって様々な要素を感じ取ることが出来るビッケブランカの作品は聴く者の耳にすばやく馴染み、多くの人が「美味しい」と感じる事が出来る楽曲であると思える。

ブレイクに必要なのは、音楽における「抜け感」?

ビッケブランカの音楽を聴いて、筆者はもう一人思い出したアーティストが居る。

80年代に登場し、数多くのアーティストに楽曲提供をしてきたポップソングの天才「松尾清憲」その人である。彼の存在を決定づけた「愛しのロージー」は、マージービートにQueenのブライアンメイを思わせるギターを効かせた珠玉のポップソングである。

松尾清憲 / 愛しのロージー

他にも、非常にハイセンスなポップソングを多く世に放っているが、今彼の名前をエンターテイメント界のメインストリームで聞く事は無くなってしまった。

天才コンポーザーといえども、誰もが八面六臂の活躍が出来る訳ではないだろうが、生み出された名曲が誰にもカバーもされず、リバイバルもせず「過去の歌」になってしまうのがなんとも惜しいと思うのだ。

思うに松尾清憲の楽曲はポップスとして様々な要素を取り込み、そのバランスが整いすぎていたのではないか?と今にして思う。松尾清憲以外の人が歌うことは出来るだろうが、松尾清憲が歌う以上に魅力的にはならない珠玉のポップソングは、音楽としての「抜け感」に欠けていたのかもしれない。

ビッケブランカ / ファビュラス

ポップスとして良い曲だが、もう少しこういう要素があれば・・・と思えるような部分があると人は長くその曲を記憶に留め、口ずさむ、と言うことはないだろうか。

なにか調査資料があるわけでもなく、筆者の憶測でしかないのだが・・・

ビッケブランカがブレイクする上でもしも懸念があるとすれば、そんな音楽としての「抜け感」の無さかもしれない。

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