インディーズで10年も自由奔放に独自のラウドミュージックを世に放ってきたBULL ZEICHEN 88 (ブルゼッケンハチハチ) 通称”ブルハチ”が、03月28日リリースのアルバム「アルバム2」で、ついにメジャーデビューを飾る。
自身がリリースしたアルバムとしては3枚目となる今作「アルバム2」には、すでにシングルリリースされている6曲に新曲4曲を加え、メジャーミュージックシーンでの勝負をかけたブルハチらしい独自の”ハッピーラウド”なチューンが詰め込まれている。
このメジャーデビューアルバムのリリースに合わせて、全国ツアーやインストア・イベントも予定されており、ブルハチの爆音が広く聴かれることになりそうだ。
ついにメジャーが手を付けたBULL ZEICHEN 88という試金石
BULL ZEICHEN 88は、元SIAM SHADEのドラマーでAcid Black Cherryなどのサポートでも有名なドラマー”淳士”と、超絶技巧派ベーシストとしてソロでデビューしながらも数多くのミュージシャンから引く手数多のIKUOを中心として、ボーカルの栄二郎、ギターのsebastianを加えた4人組のバンドである。
通常なら、ここでアルバムリードトラック「とりあえず生」を紹介するところだが、楽曲が”ハッピー”すぎて彼らの存在が軽んじられるのも嫌なので、まずはバンドの中心メンバーでもあるリズム隊のテクニックレベルを確認していただきたい。
淳士サウンドチェック
Ikuo Demo Performance
超技巧派プログレメタルバンド「ドリーム・シアター」にでも加入できそうなリズム隊を有するバンドBULL ZEICHEN 88のメジャーデビューアルバムのリードトラックが、これだ。
BULL ZEICHEN 88 / とりあえず生
・・・ふざけてるw 色々ふざけ過ぎだwww
転調も過激で、正に「ドリーム・シアター」並みの超絶テクニカルな楽曲なのだが、ルックスも歌詞もゴールデンボンバーなのである。ブルハチを和製ドリーム・シアターと捉えるか、楽器が弾けるゴールデンボンバーと捉えるかで、その人の音楽人生は大きく違ってくると言えよう。
Dream Theater / The Enemy Inside
そんな、キャリア的にもテクニック的にも一筋縄ではいかない、このふざけたバンドを10年もインディーズシーンに野放しにしておいて、いまさらメジャーがどうプロモーションしていくつもりか知らないが、このまま手をこまねいて好き勝手させる訳にもいかないのだろう。
BULL ZEICHEN 88 / epilogue
分かってやっているブルハチを侮るな
ブルハチは2006年のライブデビュー以来、ずっとメジャー志向な楽曲をリリースしている。確かなテクニックに彩られた楽曲は、凝った曲構成を持ちつつもマニアックなものにはなっておらず、常にメジャーに通用するキャッチーさを保っている。
BULLZEICHEN 88 / モンスター
実際、バンドの中心メンバーでもあるドラマーの淳士やベースのIKUOはメジャーにおいて充分なキャリアを持っており、メジャーデビューを目指して田舎から出てきて「元気が出るテレビ」でオモチャにされるX JAPANのような扱いができるバンドではない。
当然、自らが呼称している”ハッピーラウド”という音楽志向も、様々なキャリアの上に立ってシーンを見ながら、メンバーの音楽志向とすり合わせて創出されているもので
「僕たちずっとこのバンドで演ってきて、自分達らしいこのサウンドしか鳴らせません。」
と、自分のキャパシティの無さをひけらかす様な真似もできない。
BULL ZEICHEN 88 / Lovely
そのケバケバしいヘアカラーや、コメディチックな歌詞、芸人然としたキャラクターなど突っ込み所満載だが、売れ線がどんなもので、自分達がどんな音楽を創り出せばよいか、自分達にしか創れない音楽がどんなものか、彼らはしっかり狙って楽曲を作っている。
ブルハチデビューで試されるのは国内メジャーミュージックシーンだ
この、アニソンに使いまくってもよし、フェスで暴れまわってもよし、海外に打って出ても申し分ないスーパーバンドを、メジャーレーベルがどう売り出していくのか?ということは、非常に注目すべき点であろう。
BULL ZEICHEN 88 Major Debut Album 「アルバム2」 TRAILER
YoutubeやSNSを使い自前で充分にプロモーションできる現在では、インディーズであることに昔ほど弊害は無い。
メジャーレーベルであっても、ろくにプロモーションもされず全国のショッピングモールを回るような腐った活動しかしていないアーティストは山ほどいるし、独自レーベルでも多くのタイアップを獲得し、ワンマンで全国ツアーを回るバンドも居る。
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「見た目」重視でブロマイド替わりに同じCDを何枚も買わせるようなインチキ商売を当たり前とし、長年”ラウドミュージックは売れない”と拒んできた日本のメジャーミュージックシーンが、ブルハチをどの高みに掲げるのか見ものである。