廣瀬“HEESEY”洋一のソロにみるTHE YELLOW MONKEYにおけるバンドとソロの関係

廣瀬“HEESEY”洋一のソロにみるTHE YELLOW MONKEYにおけるバンドとソロの関係

2016年に15年ぶりに再始動し世代を越えて大きな反響を得たTHE YELLOW MONKEYのオリジナルベーシスト・廣瀬“HEESEY”洋一のソロアルバム「ODYSSEY」が、5月16日にリリースとなった。

ソロとしては前作「YOU SAY HEESEY」以来4年ぶりとなる今作は、THE YELLOW MONKEYの屋台骨であるHEESEYによる純度100%のロックンロールサウンドを聴く事が出来る。

また、リリースに合わせてソロツアーも予定されているので、HEESEY的ハードロックが好きな人は要チェックだ。

ソロ活動を活性化するイエモンメンバー

先日ご紹介したイエモンのギター、菊地英昭(EMMA)率いるbrainchild’sのリリースに続き、イエモン不動のベーシスト・廣瀬洋一のソロアルバムがリリースされる。さらに、来る6月13日にはイエモンのフロントマン吉井和哉のソロアルバムリリースも予定されている。

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HEESEY- J!T!T!T!

昨年末、東京ドームを2日に渡り湧かせ、衰えるどころか円熟したロックサウンドで往年のファンのみならず新しい世代にも、その存在を充分に示したイエモンのメンバーが、ここにきて立て続けにソロアルバムをリリースしている。

バンドメンバーがソロ活動を行う理由として、一般的にいえばバンドでの活動に不自由さを感じたか、収入や成功を独占したくなったか、ソロ活動を充実させて活動を安定させたいか、いずれにせよバンドの存続に影を落とす事が多い。

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しかし、イエモンのメンバーによるソロ活動はそういった利己的な理由ではなく、15年をかけて再結成され、再び輝きを取り戻したTHE YELLOW MONKEYという素晴らしいバンドを、永く、強く、輝かせ続けるための活動の様に思える。

個々のクリエイティブの衝突がバンドを輝かせる

今回リリースされる廣瀬洋一のソロアルバムも、菊地英昭のソロプロジェクトも、それぞれに素晴らしいロックンロールサウンドを聴かせてくれるが、イエモンほどのセールスは見込めない。お金や名声が欲しいなら、イエモンとしての活動を精力的にした方がいいだろう。

brainchild’s / Better Day to Get Away

それでも尚、ソロ活動を行う理由はアーティストとしての観点が無ければ理解できないだろう。

バンドというのは、メンバーそれぞれのクリエイティブを持ち寄りひとつの作品を作り上げていく。パワーバランスによってメンバーにかかる負荷はバンドによってまちまちだが、イエモンのメンバーは、それぞれ個々に充分なキャリアを持って参加しているので、クリエイター同士の衝突も熾烈であると想像できる。

そして、その衝突の激しさがイエモンの楽曲を輝かせ、素晴らしいクリエイティブを生み出すことをメンバー自身が理解しているのではないだろうか。

吉井和哉 / 超絶☆ダイナミック!

これが、学生時代からの腐れ縁で成り立っているバンドならまだ楽なのだ。同じ環境で育ったのなら音楽的バックボーンも似ているし相手が言っている事の理解も早い。強いフロントマンが立っていても長い付き合いの中で力関係を構築し、喧嘩にならずに長続きもする。

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しかし、イエモンはそういった”腐れ縁”バンドと違いメンバーそれぞれがキャリアに裏付けられた自己主張をする”スーパーバンド”なのである。

メンバーのソロ活動で垣間見えるイエモンの構成要素

イエモンメンバーそれぞれのキャリアを踏まえソロ作品を聴くと、イエモンの楽曲が如何にメンバーそれぞれのクリエイティブが絶妙にブレンドされて出来あがっているかが良く分かる。

THE YELLOW MONKEY / Stars

特に今回ソロアルバムをリリースした廣瀬洋一の音楽指向は明確で、アルバムを聴けばイエモンサウンドの重要要素である事は理解いただけるだろう。

元すかんちのローリー、ZIGGYの森重樹一と並び、日本の3大グラムロッカーの一人に数えられる廣瀬洋一が志向するどこかレトロでポップでポジティブな「ハードロック」は、THE YELLOW MONKEYの音楽性の中に確実に反映されている。

HEESEY / ODESSEY digest

イエモンのパブリックイメージとして、フロントマンである吉井和哉の作り出す独特な世界観が注目を集めがちだが、廣瀬洋一の持つハードでレトロなロックンロール魂もまた、イエモンをイエモンたらしめる重要な要素であると思える。

廣瀬洋一は今回リリースするアルバムについて、吉井和哉の影響を受けたと語っている。確かに吉井和哉的な世界観は感じる事が出来るが、あくまでも廣瀬洋一的な吉井和哉の解釈であり、イエモンとは違う廣瀬洋一らしい作品となっている。

イエモンのメンバーが、それぞれのソロ活動で研ぎ澄ました個のクリエイティブをぶつけ合い、更に輝くイエモンサウンドを創り出してくれる事を期待したい。

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