brainchild’sが聴ける「大人」で良かった。

THE YELLOW MONKEYのギター、菊地英昭(EMMA)のソロプロジェクト「brainchild’s」が、4月11日にメジャー第1弾となるフル・アルバム『STAY ALIVE』をリリースする

2008年にインディーズ・レーベル「Brainchild’s Music」設立と共にソロ・プロジェクトとして活動を開始したbrainchild’sは、活動10周年にしてついにメジャーレーベルからのリリースとなり、アルバムリリースに合わせ全国14都市を巡るライブツアー『brainchild’s TOUR 2018 –STAY ALIVE-』開催。全国各地でのインストアイベントにも出演する。

brainchild’sが魅せる「大人」の魅力とは

筆者は、すでに”大人”になってからだいぶ長く過ごしているが、自分がいつ「大人」になったのか憶えていない。そもそも、なにを持ってして「大人」と呼べるのかも分からないのだから、まだ「大人」にはなっていないのかもしれない。

brainchild’s / Better Day to Get Away

それでも、brainchild’sの響かせるロックが「大人」の魅力を放っているのは感じ取ることができる。brainchild’sを紹介しつつ、その音から感じる「大人」について探っていきたいと思う。

2004年に一度、活動を休止させたTHE YELLOW MONKEYの不動のギター菊地英昭が、“様々なアーティストとコラボレーションし、頭脳から生まれる産物と創造的なアイデア、そしてイメージやカラーなどを音楽で表現する120%自由な菊地英昭的・解放プロジェクト”というコンセプトで始動したBrainchild’s。

brainchild’s / 恋の踏み絵

メジャーなバンドのメンバーとして”2度”デビューしている菊地英昭が、自身のソロプロジェクトとして、インディーズレーベルを設立し活動しているBrainchild’sは、菊地英昭がその時々で「演りたい」という音楽が反映されている。

「大人」に至る菊地英昭のキャリア

菊地英昭はTHE YELLOW MONKEYのメンバーとして名を馳せたが、初めのメジャーデビューは”B級”ジャパニーズメタルバンド「KILLER MAY」のメンバーとしてである。

この「KILLER MAY」には実弟でもあるTHE YELLOW MONKEYのドラム菊地英二も在籍しており、当時ジャパニーズメタル全盛の時代、X Japan(当時はX)が現れる少し前、音楽性とは裏腹の派手なメイクと衣装をウリにプロモーションされ、どうにも「ビジュアル先行」感が否めないバンドだった。

ほどなくジャパニーズメタルブームは音楽性の発展も見せず終焉し、数多くデビューしたバンドたちも散り散りとなり、好きだったバンドメンバーの消息も風のうわさ程度にしか聞かれなくなった頃、THE YELLOW MONKEYは派手なギターサウンドを伴う「ロック」を感じさせるバンドとして世に現れた。

悲しきASIAN BOY / THE YELLOW MONKEY

そのメンバーに元KILLER MAYの菊地英昭と菊地英二が居た事は、驚きでもあった。そして「KILLER MAY」時代とは違いケバい化粧などもせず、バンドメンバーとしてプレイする姿は「大人」を感じさせた。

彼らにとってセカンドキャリアとも言えるTHE YELLOW MONKEYは、デビューした当時から派手で大きな名声を得ることとなったが「大人なロックバンド」というイメージを強く持っている。

プロフェッショナル達がキャリアの上に立ち「やりたいことをやる」大人の魅力

そんな菊地英昭が、THE YELLOW MONKEY休止後に始めたプロジェクトBrainchild’sは、正に「酸いも甘いも噛み分ける」大人のバンドマンが”やりたいこと”をやる為にメンバーを集め活動をしている。

「brainchild’s Electric na tei de TIPP11」Digest (2012)

Brainchild’sは、その名の通り菊地英昭の思いつく”創造性”を叶えるためのメンバーを、その時々でアサインし作品をリリースし続けてきた。現在は第7期とされており、ボーカルは現在休止中のバンド「FoZZtone」の渡會将士、ベースはバンド「鶴」の神田雄一郎、ドラムは「Jake stone garage」の岩中英明といった布陣で構成されている。

それぞれバンドに所属しながら、キャリアのひとつとしてBrainchild’sに参加している彼らもまた「大人」だ。夢を描いて仲間と上京し、バイトしながら食えないバンド活動をしている駆け出しバンドマンではない。

そんな大人なバンドマンを繋げるのは、おぼろげで美しくも見える「夢」などではないはずだ。

それぞれのキャリアに裏受けられたクリエイティビティと、期待に応えるプロフェッショナル同士の信頼によって「利益追求」とは違う視点で作られるロックチューンは、かまびすしい若手バンドの楽曲とは違う輝きを放っている。

イエモンとは違う大人ロックを魅せるBrainchild’s

2016年、15年ぶりに再始動したTHE YELLOW MONKEYは、当時を知る「大人」だけでなく、若い世代からも大反響で迎えられることとなった。その余波も残るうちにBrainchild’sのメジャーデビューアルバムがリリースされる事は、どちらのバンドにとってもプラスになるだろう。

THE YELLOW MONKEY / 砂の塔

Brainchild’sの音楽性はTHE YELLOW MONKEYにも通じるストレートな「日本語ロック」ではあるが、THE YELLOW MONKEYを彷彿とさせながらも、4人のプロフェッショナルが作り上げるソリッドでタイトなロックを聴かせてくれる。

brainchild’s 5th AL『STAY ALIVE』全曲ダイジェスト

このカッコ良さが”判る”ということが「大人」である証といえるのかもしれない。「大人で良かった。」そう思えるロックを聴かせてくれるBrainchild’sの息の長い活動をこれからも追っていきたい。

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