THE BACK HORNと生きる3.11後の世界

昨年10月に結成20周年を前に2枚組みベストアルバムをリリースし、国内ロックシーンにおける自身の軌跡を示したTHE BACK HORNが、新たな歴史の一歩を刻むべく3月7日にミニアルバム「情景泥棒」をリリースした。

このミニアルバムの初回盤特典DVDには、昨年の10月、日比谷野外音楽堂で雨天の中行われた「KYO-MEIワンマンライブ」~第三回夕焼け目撃者~のライブ映像が収められており、活動20年を迎えてもエネルギッシュに攻め続けるTHE BACK HORNの姿を確認できる。

「KYO-MEI」を掲げるTHE BACK HORNのリアル

THE BACK HORNは日本のミュージックシーンが大きく変換した1998年に結成され、翌年のインディーデビューから2001年のメジャーデビュー以降、常に活動し続けコンスタントにTHE BACK HORNのロックを届け続けている。

THE BACK HORN / Running Away

彼らの作る音楽は、へヴィーでラウドなトラックにメッセージ性の強い歌詞を乗せて、リアルな「死生観」を歌い上げる。耳障りの良い英語詞やひねくったリリックを用いず、ストレートな日本語歌詞が、ボーカル山田将司の声によって聴く者の心の奥に届けられる。

THE BACK HORNが奏でる音楽は、その音も歌詞もリラックスした状態でイージーリスニングできる類のものではないが、伝えられるメッセージはリアルな痛みや焦燥感を伴いながら、どこか希望や安らぎを与えてくれる。

THE BACK HORN – 戦う君よ

それが、彼らがテーマとして掲げる「KYO-MEI」というものなのだろう。

共命、強命、叫命、響命、叫鳴、そして共鳴…。ザ・バックホーンは心をふるわせる音楽を届けていく。それが、KYO-MEI。

〈公式サイトより http://www.thebackhorn.com/feature/kyomei/

確かに、THE BACK HORNの音楽には、心を震わせる力があると思える。そして、20年間変わることなく聴く者の心にKYO-MEIし続けている。

変容する日本の死生観

3.11、「あの日」から今年で7年になる。多くの人の命が、沢山の想いが、抗いようもなく流されていくのを目の当たりにし、自分達が作ったもので自分達の生命に関わる水や空気や食料が侵されていくのを止める事も出来ず、不安を抱えて過ごす日々は7年経った今も変わらない。

THE BACK HORN – 孤独を繋いで c/w導火線/夏の残像

震災前には集団自殺のニュースが流行のレジャーのようにメディアに取り上げられ、多くの日本人が鈍感になっていた「死」は、「あの日」抗いようのない力でまざまざと我々に突き付けられ、その死生観は大きく変容したように思う。

刹那の生に寄り添うTHE BACK HORN

THE BACK HORNもまた、デビュー以来伝え続けてきたリアルな「死生観」を伴うメッセージが、震災を経て変容したという。

THE BACK HORN – シリウス Live at 日本武道館 in 2013

デビュー当時は、ヒリヒリとした「痛み」と「死」をもってを刹那の「生」を伝えるメッセージ性を持っていたが、あの日以降もはや「死」が身近になった日本において、THE BACK HORNの伝えるメッセージには、聴く者の心に寄り添い、支えるような力強さをより強く感じられるようになったように思う。

THE BACK HORN – 『情景泥棒』 ダイジェスト音源

それでもTHE BACK HORNの歌は、キレイごとを並べる無責任な応援ソングではない、リアルな痛みを知る者として、いつの時代も刹那に生きる人たちを見つめ、寄り添い、立ち上がり歩く者を支えてくれる力を備えている。

これからもTHE BACK HORNの歌にKYO-MEIする心を抱えて、共に刹那を生き抜いていきたいと思う。

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