「護衛チーム」「暗殺チーム」と続いたこの記事も、今回の記事で一度終わりを迎える。
前回も話したが、ジョジョ5部には基本的に3つのチームが存在し、主人公側の「護衛チーム」、主人公と敵対しながらもボスに謀反をする「暗殺チーム」、そしてボスからの指令で直接動く「親衛隊チーム」とわかれている。
今回は最後なので、「親衛隊チーム」と、第5部のラスボスである「ディアボロ」のスタンド元ネタについて取り上げる。
主人公たちは暗殺チームを倒した後、親衛隊チームと対することになる。
このチーム、「チーム」と呼ぶにはいまいちまとまりがないのだが、それはひとえにキャラクターによるものだろう。
それはのちに解説してゆく。
スクアーロとタッグを組めば最強!ティッツアーノの「トーキング・ヘッド」
ティッツアーノについて作中では多くを語られていない。
ただし、仕事をするときはスクアーロといつもコンビで、自分のスタンドを最大限に活かした働きをすることがわかっている。
スタンドは「トーキング・ヘッド」。思っていることと反対のことを言ってしまうという、攻撃能力はないが信頼関係を崩すのに最適な能力だ。
もちろんティッツアーノの方でコントロールできるので、逆に「嘘を言おう」と思ってもそれがストレートに嘘になってしまうこともある。
元ネタの「トーキング・ヘッズ」は1974年に結成され、1991年に解散したアメリカのロックバンド。
メンバーが高学歴なことから「インテリバンド」と呼ばれていた。
ニューヨーク・パンクの拠点であったライブハウス「CBGB」出身で、パンクバンドとして活躍するも、中期あたりからポスト・パンクへと変貌を遂げる。
「Love → Building on Fire」
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」に選ばれている。
ティッツアのためにも俺が勝つ!スクアーロの「クラッシュ」
スクアーロはティッツアーノとコンビを組んでターゲットを殺す攻撃型のスタンド使い。
スタンドは水の中を自由に行き来できる小型のサメのような形で、「クラッシュ」という。
クラッシュといえば「ザ・クラッシュ」だ。
イングランド出身のパンク・ロックバンドで、1976年から1986年にかけて活動していた。
セックス・ピストルズとよく比較される、世界で最も成功したパンクバンドのうちのひとつである。
「London Calling」
ティッツアーノの「トーキング・ヘッド」もパンクバンドが元ネタなので、コンビ感がより強調されている。
ボスのためなら死すら厭わない!カルネの「ノトーリアス・B.I.G.」
異色とも思えるほどボスに忠誠を捧げた部下が、カルネである。
カルネのスタンドはカルネ自身が死亡した時に発動する。
さらに死亡したことによりスタンドの能力は非常に強力になり、主人公であるジョルノですら手を焼く存在となる。
そのカルネのスタンドは「ノトーリアス・B.I.G.」。そのままアメリカのラッパーの名前だ。
麻薬密売人の時期を経て、カリスマフリースタイルラッパーとなり、セカンドアルバムのリリース前1997年3月9日に暗殺された。
「One More Chance」
24歳という若さで亡くなったカリスマだが、その「死亡」という事実をカルネに重ね合わせてスタンド名を名付けたのかもしれない。
なにせカルネのスタンドはカルネ自身が死なないと発動しないのだから。
人をいたぶるのが大好きな外道外科医チョコラータの「グリーン・デイ」
さて、この項目で紹介するチョコラータと、そのコンビ相手セッコは「親衛隊」と呼ぶには少々語弊があるかもしれない。
なにせボス自身が「できることなら使いたくなかった」というコマなのだ。
人をいたぶるのが大好きで、殺人を犯して医療界を追放されたチョコラータ。
彼のスタンドは「グリーン・デイ」と言い、能力の届く範囲内全てをカビで腐らせてしまうという凶悪な能力である。
自分が「今」いる場所より低い場所に行くと、カビが発生すると言う条件を見抜いたジョルノたちはチョコラータを倒すが、その発生条件がわからないうちは完全に絶望という凶悪スタンド。
「グリーン・デイ」と言えば元ネタは間違いなくアメリカのパンク・ロックバンド。
1987年に結成され、1990年にデビュー。その後世界中で大ヒットしたバンドである。
2015年にはロックの殿堂入りしている。
パンクの中でもポップな曲調で、オルタナティブ・ロック的な曲調の楽曲もある。
全世界のパンク好きで名前を知らないものはいないビッグバンドである。
「Basket Case」
その有名性(全世界に広がっているという点)から、広範囲の攻撃を考え付いたのかもしれず、スタンドと元ネタは深い関わりがあることがわかる。
なお、本来はチョコラータの出番をリタイアしたフーゴに演じさせようとしていたらしいが、作者の荒木自身が「どうしてもできなかった」と述べている。
「死んだのならもう好きじゃねーよ」セッコのオアシス
チョコラータとコンビを組んで殺戮を好むのが、チョコラータの元患者であるセッコ。
二人は「ゲスコンビ」と呼ばれており、チョコラータがセッコにご褒美として角砂糖を投げるシーンが印象的だ。
セッコのスタンド「オアシス」は、地中などを深く潜ることができる能力。
そのまま周囲を柔らかくして移動できるので、ターゲットは翻弄されることになる。
「オアシス」はいうまでもなくUKロック伝説のバンドだ。1991年に結成され、2009年に解散した。
「世界一仲が悪い」と言われるリアム・ギャラガーとノエル・ギャラガーの兄弟がいるバンドで、その伝説のほとんどがセールスなどより言動によるものだ。
もちろんめちゃくちゃに売れた。
なんてったってトータルセールスが7000万枚を超えている。
「Don’t Look Back In Anger」
「実は仲が悪い」というのは、チョコラータとセッコの関係にもかかわってくる。
セッコはチョコラータが死亡したのち、「死んだのならもう好きじゃねーよ」と吐き捨てている。
二人の信頼関係は意外に脆かったのである。
時間系最強スタンド!ディアボロの「キング・クリムゾン」
さて、親衛隊を紹介し終わった。
となるとラスボスですね!
ギャング「パッショーネ」のボスであるディアボロは、時間系のスタンドを操る。
これは「時間を吹っ飛ばす」という能力で、原因、過程、結果のうち過程を飛ばしてしまうという力だ。
このスタンドの攻略方法はなく、ディアボロとジョルノたちの直接対決は「別のスタンドが介入」して終了する。
「実は弱いのでは?」と思われがちなディアボロだが、その能力は間違いなく「帝王」にふさわしいものだったのだ。
スタンド名の「キング・クリムゾン」はいうまでもなく世界で最も売れたプログレ・ロックバンドだ。
時間を「飛ばす」能力が、あの壮大な長時間の演奏をするバンド名だというのに皮肉を感じる。
「21st Century Schizoid Man」
「キング・クリムゾン」はロックバンドとしてもレジェンドバンドなので、この曲は誰しも聞いたことがあると思う。
ここまで強烈なバンドをスタンド名にしたのは、ディアボロの異名である「帝王」を最大限にアピールするためなのだろうか。
ジョジョ第5部の個性豊かなメンツにわくわくせざるをえない!
「黄金の風」は、ストーリーとしてはそこまで長い話ではない。
ジョルノがギャングに入団し、そこからの時間経過も短い中でバンバンキャラクターが登場し、そして死んで行く。
「暗いから嫌いだ」という人もいるが、私はこの敵キャラたちがあまりに個性的で愛おしく、5部は間違いなく名作だと思っている。
現在アニメ化企画は「休憩中」らしいが、次にアニメ化されるとしたらこの第5部なので、みんなぜひチェックして欲しい。
文=阿部春泥