女性シンガソングライターの活躍は目覚ましいものがありますね。
昭和の時代は女性の歌手と言ったら演歌歌手、アイドルが多かったのですが、平成になってシンガソングライターの数はぐっと増えました。
そして数が増えると音楽は多様化するもの。
その一種類として、いわゆる「病んでる」感じの楽曲を売りにする歌手も多く輩出されました。
私は例に漏れず「病んでる系歌姫」がめっちゃ好きなので、彼女たちの楽曲を挙げつつ、どんなところが魅力だったのかを観察していきたい所存。
「聴いたことがなかった」という方も、ぜひこれをきっかけに素晴らしい楽曲に出会ってくれれば幸いです。
裸足で歌う野性系、悲痛な叫びが持ち味のCocco
まずはこの人を外しては語れない、Cocco。
「カウントダウン」
「強く儚い者たち」
「焼け野が原」
「カウントダウン」はデビュー曲ですが、この衝撃はやばかった。
その後「強く儚い者たち」で大ブレイクし、「焼け野が原」で一時活動休止するまでは右の出るもののいない絶対的な歌姫でした。
Coccoの特徴は、主人公に据える女性の年齢が比較的上なこと。
少女を主人公に描くことはほとんどなく、大体が大人の女性です。
恋愛や人生における傷を、絞り出すように歌い上げる歌唱スタイルも話題になりました。
特に裸足で歌うのが有名で、活動休止前の最後のMステ出演では、足元のアップのカットまでありました。
特に楽曲のアレンジメントが良くて、ロック界隈でも評価の高かったアーティストです。
なぜ「病んでる系歌姫」に分類するかというと、彼女自身が拒食症と自傷行為を患っていたから。
2009年にそのことに触れ、周囲を「やっぱりな」と納得させたものです。
現在は音楽活動を再開して、2017年3月にはメジャーデビュー20周年を迎えました。
新宿系元祖!必修科目といっても過言ではない椎名林檎
30代前半女性の必修科目といっても過言ではなかったアーティストが椎名林檎。
「歌舞伎町の女王」
「本能」
「カーネーション」
本人が「新宿系」と語っていたものの、その意味は特になく、「◯◯系」とカテゴライズするのが一番面倒でなかったという旨の話をのちのちにしています。
本当にね、すごかったんですよ。
私の周りはバンギャばかりだったのですが、その全員が椎名林檎を歌えるんだよね。
一般人も歌えるんだよね。
マジで必修科目感ありました。
そして今でもそのパワーは健在。紅白にも出たぐらいですから押しも押されぬトップアーティストですよ。
椎名林檎に影響されたという女性も多く、私たちの世代のアイドルです。
深い世界を確かな歌唱力で歌い上げる天野月
2017年4月に惜しまれながらリリース・ライブ活動を休止したのがこの方。
「菩提樹」
「銀猫」
「蝶」
旧名の「天野月子」の方が馴染みがある方もいるかもしれません。
私もそのひとりです。
天野月のすごいところは、世界観の構築が最高にうまいところ。
その点が評価されて、ホラーゲーム『零』シリーズの主題歌を歌っていました。
可愛らしい楽曲も多いのですが、とにかく主人公をヤンデレにしがち。
女性の強さと弱さをしっかりと描いているのに、微妙に「病んでる」感をプラスするのが多いんですね。
あからさまにハッピーな人よりも、こういう女性の方が男性には魅力的なのかも。
創作活動をしている人間が私の周囲には多いのですが、BGMに天野月を流しているという割合結構高いです。
平成も終わりの酸欠世代ホープ!さユり
そして最後はこの平成終わりの息苦しい世代を「酸欠世代」と名付けたシンガソングライター、「さユり」。
「ミカヅキ」
「それは小さな光のような」
「平行線」
タイアップ曲が非常に多いんですが、その分耳にする機会もオタクなら増えてますよね!
アニメ「乱歩奇譚」、「僕だけがいない街」、「Fate/EXTRA Last Encore」、ゲーム「消滅都市」などなど、とにかく現在パワープッシュされているアーティストのひとり。
本人が2.5次元だったりパラレル世界のさユりがいたりと設定詰め込みまくりなんですが、それよりもとにかく楽曲がいい。
人間の持つ根源的な人恋しさをうまい具合に耳障りよく調理した世界が、まだ心のどっかに残っている少女の部分を狙い撃ち。
聴いたことない人は設定とか本当どうでもいいのでまず聴いてみてほしいです。
声もクセになる感じでやみつきなんだよなあ…。
元号が終わる激動の世の中で生まれる名曲たち、その歌い手
平成の歌姫といえば安室奈美恵や浜崎あゆみをすぐに連想しがちですが、その裏で密かにひとつのムーヴメントがあったことは間違いのない事実です。
「病んでる」自分のために「病んでる」なにかを投影したい。
そんな自己肯定感の演出のために、歌姫たちは出現しました。
彼女たちはおのおの独自の世界を作りつつも、人間の持つエモーショナルな部分を揺さぶる楽曲を作ることについては共通しています。
天皇が生きている状態で「譲位」が行われるという、この新しい時代。
「病んでる系歌姫」は今後出現するのでしょうか。
平成が暗い時代だったからこそのブームで、もしかしたら新しい時代では「めっちゃ明るくてハッピーでポップだぜ!」っていうシンガソングライターが大ブームを起こすかもしれません。
でも、その傍流として「病んでる系」は消えないだろうな、とも思います。
だって全員が健全で幸せな世の中ってありえないですからね。
心の病を隠さない世の中になってきたこともあり、もしかしたら「病んでる系」は傍流どころか主流になるかもしれない…そんな予感さえするのです。
次の元号で初めに「女王」たる堂々さを見せる歌姫が誰か、とても気になるところですね!