新曲「here comes my love」がオリコン配信ランキング1位を獲得するなど、Mr.Childrenの2018年における躍進が始まりつつある。
音楽アーティストとして最先端を走りながら、常に自身が変化することを忘れないMr.Childrenは、前作とのちがいを楽しめるバンドであることはご承知のことだろう。
前作「REFLECTION」から早3年。「REFLECTION」への進化も驚きだったが、新曲を聴くとまた新しい驚きを得られそうで楽しみになって仕方がない。
特に次に出すアルバムはセルフプロデュース2枚目となるため、今後のMr.Childrenを占う大切な作品となることだろう。
Mr.Childrenが次作のアルバムに向けてどのような進路に舵を取るのか、現在発表されている新曲たちから読み取ってみたい。
「REFLECTION」でバンドサウンドへの回帰
次作の比較対象となるのは、2015年に発売された前アルバム「REFLECTION」だ。
「REFLECTION」はMr.Childrenのセルフプロデュース第1段として注目されていたが、内容的には4人の「個」を強くしたバンドサウンドへの回帰が印象的だった。
ライブをしながら作曲を行い、未発表曲も惜しむことなく披露していった結果から、そのようなバンドアレンジが強くなったことがうかがえる。
特にプロモーションでも積極的に歌われた「未完」や「足音 ~Be Strong」は、成熟した「バンド」としての彼らを味あわせてくれるだろう。
足音 ~Be Strong
ストリングスの壮大さや、純愛・悲哀・希望を歌う歌詞が注目されがちだった昨今のMr.Childrenは、この「REFLECTION」によって改めて生まれ変わったといってもいい。
そして新曲は再びバラード重視へ
正直、アルバム「[(an imitation) blood orange]」の頃は、Mr.Childrenのバラードラッシュに食傷気味であった。(個人的にね)
良い曲であることはもちろんわかっているのだが、「たまには昔っぽいMr.Childrenが聴きたいなあ」とわがままをいったものだ。
「REFLECTION」はそういった意味では、私のようなわがままなファンの身勝手な要望を叶えてくれたアルバムとなっている。
そして今、Mr.Childrenは再びバラードの楽曲を発表し続けている。
最新曲「here comes my love」や「himawari」は、Mr.Childrenの新たな定番曲として受け入れられることだろう。
himawari
しかしこれらの2曲は決して過去と類似するものではなく、「REFLECTION」で得たバンドサウンドの良さをしっかりと受け継いでいることがわかる。
「himawari」は特にリズム隊が光る楽曲となっていて、ただ聴き浸るのではなく、強く心臓を叩かれるようなドキドキを提供してくれる。これが「REFLECTION」以前と以後の大きなちがいといえるのでは、と筆者は推測している。
そしてそのような進化は上記の2曲だけでなく、今後のアルバムに収録されるすべての楽曲に適応されることだろう。
次回のアルバムはどうなるか?
Mr.Childrenには、自身の転換期となったアルバムがいくつかある。
「深海」「IT’S A WONDERFUL WORLD」などは、その瞬間のMr.Childrenを真空パックしたアルバムであり、今聴いても色褪せない。
しかしそういったアルバムを生むには、ある程度の音楽的実験や変革が必要となることだろう。
Mr.Childrenは前作「REFLECTION」で、セルフプロデュースという新境地に踏み込んだ。そこで生まれた数々の実験成果は、おそらく次回のアルバムで花開くことだろう。
特に「進化論」「I Can Make It」をさらに深化させた楽曲が披露されるのではと、個人的には期待している。
進化論
現段階ではバンドサウンドを尊重したバラードが多いが、その流れがアルバム全体に波及する可能性は十分ある。
Mr.Childrenの新しいバラ-ドが聴きたいのなら、次回作は有力なアルバムになるかもしれない。
そして筆者のようにバラ-ド以外の曲をもっと聴きたいと唸っていたリスナーも、「REFLECTION」を挟んだことで「またバラードも聴きたいな」と思っていることだろう。
あらゆる年齢、性別、音楽的嗜好をファンに持つMr.Childrenにとって、次のアルバムはこれまで以上に多くのリスナーを満足させるものになるお膳立ては整っている。
過去最高傑作に期待して、今はとにかく新曲たちの発表を待とうと思う。