実は言葉の魔術師?一言にすべてをかけるウルフルズはやはり別格!

ウルフルズというバンドについて、思いつくことといえばなんだろう。

ボーカルであるトータス松本のパワフルでありながらテクニカルな歌声か、90年代を代表するようなゴリゴリのバンドサウンドか、導き出される答えは人それぞれだろう。

しかしウルフルズの本当の魅力は、その「言葉の魔術師っぷり」にあるのではないかと筆者は思っている。

雰囲気から「言葉よりもハート!」のイメージが強いウルフルズだが、だからこそ言葉を尊重し、そして慎重に選んでいるように思えてならない。

今回はそんなウルフルズの言葉(歌詞)に焦点をしぼって、その魅力の再発見に乗り出したいと思う。

実は詩人な一面を持つバンド

実はウルフルズというバンドは、かなり詩人的な一面を持っている。

特に大ヒット曲である「ガッツだぜ!!」の発表までは、詩人的な言葉の選び方を意識しているように思えるのだ。

詩人的といっても、「風流で情緒的である」という意味ではない。むしろ非常に日常的で、話し言葉に近い歌詞をウルフルズは歌っている。

その良さが出ているのが、4thシングル「借金大王」だろう。

借金大王

トータス松本の歌い方も合わさって、かなりリアリティな歌詞が印象的である。

「貸した金返せよ」と繰り返される曲を堂々と歌えることは、もはやすごさを越えて面白さすら感じさせてくれるだろう。

この「借金大王」の他にも、ウルフルズは初期の頃から言葉に日常性とワンセンテンスの強さを与えることを命題としてるようだ。

「やぶれかぶれ」「すっとばす」「トコトンで行こう!」などは、その言葉の親しみやすさと力強さでは群を抜いている。

しかし残念ながら、このウルフルズの詩人的な要素はなかなか世間には受け入れられなかった。

本来ならここできっと多くのアーティストは、路線変更という手段を実行するのだろう。自分たちの音楽はズレていた。世間の動向を探って需要のある音楽にシフトしていこう。そう考えることはある意味自然であり、1つの処世術といえるだろう。

しかしウルフルズは、かたくなに自分たちの詩人的スタイルを守り続けた。

その結果1995年、誰もが知るあの名曲が誕生する。

一言が持つ力強さが認知される

ウルフルズは9thシングル「ガッツだぜ!!」によって、いっきにトップアーティストの仲間入りを果たした。

翌年にも「バンザイ 〜好きでよかった〜」を発表して大ヒット。彼らの存在はまぎれもなく「売れっ子」として不動の地位を確立することになる。

バンザイ~好きでよかった~

しかし売れるまでウルフルズが作りだしてきた音楽には、初期と比べても大きな変化はなかった。彼らはやはり言葉にこだわり、詩人的な要素を持つ歌詞性を追求し続けてきたのだ。

あえて変わったことを上げるのなら、言葉の力強さ、そして歌詞の一言を前に押しだす演奏力かもしれない。

「ガッツだぜ!!」「バンザイ」とサビで披露されるその一言の強さは、他のアーティストでは絶対に表現しきれない。

たった一言を放つだけで、ウルフルズの歌はほぼ完成してしまうのだ。

これこそ、ウルフルズが言葉の魔術師たる所以だと思われる。

びしっと一言で片づけてしまうのは、だらだらと言葉を紡いでいくよりもずっと難易度の高いことだ。

そんな難易度をものともしない言葉選びのセンスこそ、ウルフルズらしさであると私は思う。

その後も言葉の魔術師らしさは続いていく

ウルフルズはその後も「かわいいひと」「しあわせですか」「まかせなさい」など、一言の強さを活かした楽曲を発表していく。

どの曲もはっきりとしたキャッチフレーズがあり、その一言を歌うために設置されたバンドという舞台装置は常に安定した演奏を提供してくれる。

かわいいひと

「バカサバイバー」「サムライソウル」「暴れ出す」といった破壊力のある言葉も取扱うようになってから、言葉の強さはジャンルの垣根さえ超えはじめ、ウルフルズの存在感は増すばかりとなっている。

サムライソウル

最近のアルバムでもその魔術師らしさは健在で、歌詞をしっかりと聴く大切さや面白さを、相変わらず我々リスナーに教えてくれているようだ。

ウルフルズの言葉の力に気づいている人は、意外と少ない。

それはウルフルズの選んできた言葉が、自然に私たちの耳に届くほど心地よいことが原因なのだろう。

これからウルフルズを聴くときは、言葉の1つ1つに注目し、なんなら歌詞カードを手に持って詩を読むように聴いてみるのをおすすめする。

彼らの音楽に隠された言葉への強い思いが、より聴こえてくる音楽を洗練させてくれるはずだ。

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