バーチャルユーチューバーが流行っている昨今、音楽業界にもデジタルな融合が求められるようになるのかもしれない。
最近ではPerfumeがまったく別の場所で披露したダンスを合成して、1つPVを作り上げるなどのパフォーマンスを見せ、音楽とデジタルの本格的な融合に期待が集まった。
今後もさまざまな展開が行われると思われるが、ボーカロイドとのコラボもまた、そのうちの1つとしてカウントされるのではないだろうか。
実はすでにボカロの代表格である「初音ミク」は、多くのアーティストたちと楽曲をコラボしている。
音楽とデジタルの融合を示したこれまでのコラボをチェックして、その素晴らしさを改めて確認してみたい。
BUMP OF CHICKENと配信シングルでコラボ
ray/BUMP OF CHICKEN
初音ミクは2014年発売の配信シングル「ray」で、「BUMP OF CHICKEN」とコラボしている。
バンドサウンドとボカロの本格的な仕上がりは驚きの一言で、明らかに別次元の完成度を誇っていた。
特にボーカル藤原基央とのハモリは素晴らしく、ただのコラボーレション以上のものを感じさせる。
声質が合っているということもあるだろうが、人間の声にぴったりと寄り添える初音ミクのボイスが、新しい可能性を示したともいえるのではないだろうか。
PVやLIVEでも共演しているバンプと初音ミクだが、ぜひこれを続けてもらいたいと同時に、追従するアーティストにも期待したいところだ。
バンプとのコラボのおかげで、初音ミクの歌声はバンドのなかでも光るものになったといえるだろう。
小室哲哉の楽曲をカバー
LOVE IS ALL MUSIC/小室哲哉 feat. 初音ミク
企画によって誕生した小室哲哉とのコラボでは、名曲「LOVE IS ALL MUSIC」が初音ミクによってカバーされている。
元々は「華原朋美」に提供された楽曲だが、初音ミクが歌うことでまた違った世界観を演出できているように思う。
あくまでコラボ企画ということでどこまで本格的な制作体制があったのかはわからないが、ボカロとのコラボとしての良い一例になったのではないだろうか。
人間が歌っていた歌をボカロが歌うということに難色を示す人はまだ多いだろうが、その境界線を超えることができたとき、音楽は次のステージに進んでいくのだろう。
安室奈美恵との組み合わせが素敵過ぎる
B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKU/安室奈美恵
2018年で引退を発表している「安室奈美恵」とも、初音ミクはコラボを果たしている。
コラボ曲「B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKU」は2人の良さを引き出すようなテクノ調の楽曲で、両者の声を聴いていると浮き上がるような気持ちの良さを感じさせる。
全編フルCGのMVが発表されるなど気合いの入れようも素晴らしく、イベント的な楽曲ではなく、安室奈美恵と初音ミク両者にとってプラスとなるようなコラボとなったことだろう。
正直、安室奈美恵と初音ミクを聴く層はそれほどかぶってはいないと思うのだが、2人のシンクロ率は驚くほどに高くなっている。
このようにコラボによって予期せぬ魅力を見せつけてくれるのも、ボカロとアーティストの融合によるメリットなのかもしれない。
住み分けから融合へ
これまでのボカロは、「ボカロでしかできない楽曲」に重きを置いてきた。
しかしこれらのコラボを見ると、今後はそれぞれを住み分けするよりも、いっそ融合してしまった方がしっくりくるのではないだろうか。
技術的な問題が追い付き、もっと気軽にアーティストがボカロとコラボできるようになれば、それだけ音楽の幅は広がる。
それはボカロにって、そして現役のアーティストたちにとって、新しい可能性につながっていくだろう。
デジタル化が進み、既にあらゆる場所で生身ではないコンテンツと出会えるようになった今だからこそ、音楽はボカロを拾い上げるべきなのではないだろうか。
純粋なボカロファンとして、押し付けない程度に、この提案を推進していきたい。