さまざまなタグがあるボーカロイド界隈だが、「VOCALOID食堂入り」というタグがあるのをご存知だろうか。
食べ物に関連した曲が投稿されるとつけられるタグなのだが、これが個性豊かで面白い。
「この曲を作曲した人はこの食べ物が好きなのかな…」という推察や、「この食べ物ってこんなに素敵なものだったのか」という再発見ができる貴重なタグである。
その中でも選りすぐりの楽曲を紹介するので、ぜひともボカロやUTAUのみんなと美味しいご飯を食べよう!
普段の「行きつけ」がこんな視点で!
スーパーマーケット☆フィーバー/カルロス袴田(サイゼP)
∞まわる∞/カルロス袴田(サイゼP)
「ダイナミック自演ズ」と名付けられた、初音ミクとUTAUの音街ウナのユニットを歌唱させている。
イラストもサイゼPでなんとも可愛らしい。
ひたすら字幕を追わないと会話が全部読みきれないのも特徴。
楽曲のクオリティは高く、「スーパーマーケット☆フィーバー」などは、一度聞いただけでもうっかり鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気がある。
美味しいものは主題になりうる
ナポナポリターンマッチ/OSTER project
エヌ/和田たけあき(くらげP)
ナポリタンの妖精「ナポリたん」の楽曲である。
詳しいことはKAGOMEの公式サイトを見てもらうことにして、まずこの「ナポリタンを主題にする」という点から考えたい。
普通楽曲を作成する時に、食べ物の名前を連呼することはしない。
ましてや可愛い擬人化キャラを使用した楽曲の場合、その可愛さを追求した楽曲を作成するのではないだろうか。
だが、ここにあげた二曲ともが、「ナポリタン」を連呼するのである。
これはもう、「ナポリタン」の洗脳でしかない。
この二曲を聞いた後には、「今日のご飯はナポリタンにしようかな…」と考えているはずだ。
ひたすら食べろ!皿が綺麗になるまで!
頓珍漢の宴/ピノキオピー
こちらは楽曲とともにMVにも着目していただきたい。
実写でひたすら飯が減っていく…これが食欲をかきたてないでなんだというのだ!
しかも呪文のように宴に関係する言葉が羅列されている。
ところどころに「シーザーサラダ」や「唐揚げ」という単語が紛れているのがポイントである。
ピノキオピーは多彩な人で、動画やイラストも自分で作ってしまう。
このMVはとても凝っているので見ているだけでも楽しい。
暴食の果てにたどり着くのは悪食?
悪食娘コンチータ/mothy_悪ノP
再生する前にひとつ注意!
残酷な表現やグロテスクな表現が含まれているので、それがダメな人は見ないほうがいい。
「七つの大罪シリーズ」で高名な悪ノPだが、そのシリーズのひとつ「暴食」がこの「悪食娘コンチータ」である。
楽曲が制作された時期を考えるとかなりクオリティが高いことがわかり、それだけでも素晴らしいのにこれが他の「七つの大罪」シリーズと絡み合うのが面白い。
よく「美食家」が猿の脳みそを食べていたり、豚の金タマを食べていたりするが、それに近いものを感じる。
問題はそれだけで終わらなかったことだが。
ごはんは幸せ、お腹いっぱいは一番簡単な魔法
楽曲を聴いていて「耳が幸せ」となる人はとても多い。
ご飯を食べてお腹いっぱいになったり美味しかったりすると、それも幸せだ。
そのふたつをもたらしてくれる「VOCALOID食堂入り」タグは、是非ともどんどん登録局が増えて欲しいところだ。
幸せになるのは難しいけれど、ちいさな幸せを見つけるのは案外簡単なのかもしれない。
文=阿部春泥