シックでベティな「オトナ」のボカロ曲5選

シックでベティな「オトナ」のボカロ曲5選

今までさまざまなVOCALOID曲を取り上げてきたが、今回はややセクシーな大人の雰囲気溢れる楽曲を取り上げたいと思う。
初音ミクが初めて登場した頃、楽曲は可愛いらしいテクノポップス調のものがほとんどで、それ以外のものはひっそりとニコニコ動画の片隅で埋もれていた。

が、ある日を境に「いろんなジャンルを作ってもいいじゃない」という共通認識が生まれ、(それはNorth-Tの「タイムリミット」だったと記憶している)電子の歌姫は様々な楽曲を歌うようになった。
そしてVOCALOIDたちが増えるに従って、音色も豊かに、雑多なジャンルが入り混じるようになったのだった。

そんな変換期を見守っていた私が掲げる「シック」で「ベティ」なボカロ曲を5つ聴いていただきたい。

渋谷の一角でカクテルを傾ける…そんな夜

「Just a game/takamatt」


「オトナ」のボカロ曲といったら真っ先に出てきたのがこれ。

イントロで引き返さないで欲しい。せめて1番までちゃんと聴いて!
いや、これ楽曲としてもめちゃくちゃクオリティが高い。

出だしの調声はなんとかならなかったものかとは思うが、ジャジーさを持ち合わせたダンス・ロックが心をワクワクさせてくれる。
飲んでいるカクテルが「ラムコーク」なのも「背伸びしたい時期」って感じでまたいい。

別れがたいそんな日はキスで黙らせて

「リスキーゲーム/黒うさP」


黒うさPは「千本桜」のイメージが強いが、実はオトナな楽曲もいくつか作っている。
三角関係をモチーフにした「ACUTE」シリーズとかね。

この「リスキーゲーム」は、ピアノが印象的に使われていることも挙げておきたい。
サビの高揚感とは別に、メロでの沈んでいくかのような心地よさを感じれば、この曲にもう囚われている。

二人の逃避行の結末…繋いだ手を離さないで

「私とジュリエット/doriko」


大ヒットした「ロミオとシンデレラ」のアンサーソングとなっている。

歌詞をみる限りこれは…いわゆる「百合」なのでは…という考えもふっとよぎるが、まあそれは置いておいて。

「二人で破滅へ向かって進む」というのは、映画「小さな恋のメロディ」の頃からの常套手段だが、「小さな恋のメロディ」が希望に満ち溢れているのに対し、「私とジュリエット」は不安が二人を抱きしめている。

ロミシンのアンサーがこうくるとはなあ…と筆者も初聴時にはびっくりした。

セクシーな大人の色気であなたを惑わす

「え?あぁ、そう。/蝶々P」


男女の生々しいやりとりが見たいならボカロ曲は選択しない方がいいが、「え?あぁ、そう。」だけは別枠だ。
女性の生き様をわかりやすい言葉で説明した上に、常に女性優位の立場で男性に語りかけている。

間奏のピアノが感情の振れ幅を表しているようで、とても聴いていてドキドキする。

積み重ねた女の年輪を感じる危うくも完璧なサウンド

「ゴシップ/OSTER project」


「OSTER project」といえば、「ミラクルペイント」や「恋するBOC@LOID」など可愛くてきらきらしたテクノポップで有名になったPだが、この「ゴシップ」は今までのホーンセクションやジャズドラムの使い方の巧さを残したまま、「色気」を引き出している。

ちょっと癖が強い曲だが、それがミクの歌声に調和している。

チョコレートに潜むブランデーのように

シックでベティな「オトナ」のボカロ曲5選
VOCALOIDは様々な世代の人間から親しみを持たれるよう、見た目の年齢が若い。

だからこそ、そんな可愛らしい彼女たちが歌う「オトナ」な曲は面白い。

まるで食べたチョコレートからブランデーが染み出してきたときのような、意外な美味しさ。

最近はチョコレートとスパイスの組み合わせも人気だから、あなたが見つけた「ピリッと刺激的」なオトナボカロ曲も、いずれ聴いて見たいものだ。

文=阿部春泥

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