OKAMOTO’Sは90年代を取り戻すか!?時代の空気を自分らしさに変える力

90年代の音楽がよかった。

なるべく偏見を持たないようにしていても、90年代の国内・海外の音楽シーンを知っていると思わずそう漏らしてしまうことがある。

90年代はCDがもっとも売れた時代であり、今もなお活躍するアーティストたちが華々しくデビューした時代だ。

実績だけでも素晴らしいものなのに、90年代の音楽にはそこでしか味わえないような「空気」があった。

その空気があってこそ、90年代の音楽は成立していたのだろう。

だがここにきて、その空気をそのままに取り込み、自分たちの音楽として発信しているバンドが出てきた。

言わずと知れた、OKAMOTO’Sである。

OKAMOTO’Sはプレイヤーとして、そして楽曲を作る職人として、既に成功の部類に入るだろう。

その成功を導き、結果を作りだした過程には、「90年代の空気」があったのではないだろうか。

最近の彼らの動向から、この90年代らしさを分析していきたい。

海外での活動から得たヒント

OKAMOTO’Sは2009年のデビュー後、海外でのライブを積極的に行ってきたアーティストだ。

2010年には全米6都市を回るツアーを実行するなど、その音楽性の確立に尽力してきた。

ボーカルのオカモトショウがニューヨーク出身であることが理由なのかはわからないが、ここまで早く海外とのつながりを完成させたバンドはめずらしいといえる。

しかしOKAMOTO’Sが他のバンドとひと味ちがうのは、海外だけに集中しなかったことだろう。

彼らは海外での活動と並行して、日本でのライブも行ってきた。

INSANE MAN

その結果は国境という枠組みに囚われることはなく、本当の意味でグローバルなバンドの完成だった。

国内と海外の両面を生き抜いたOKAMOTO’Sは、その経験を自分たちの形として作り上げていく。

7thアルバム「NO MORE MUSIC」が発売

数々の実績を残しつつ、ハマオカモトの知名度アップも伴って、OKAMOTO’Sは確実に日本の音楽シーンに浸透していった。

もちろん最初からOKAMOTO’Sは素晴らしい力を持ったアーティストだが、それが本当に発揮されたのは、2017年に発売された7thアルバム「NO MORE MUSIC」だろう。

本アルバムはこの記事の主題である「90年代の空気」が、真空パックでつめこまれた名盤となっている。

NO MORE MUSIC/MUSIC VIDEO

特に一曲目の「90’S TOKYO BOYS」は、その時代の空気を知っている人たちの心をわしづかみにしたことだろう。

90’S TOKYO BOYS

なぜ彼らはこのような完成度を実現できたのか。

それはこのアルバムの制作秘話として語られている、「ニューヨークでのレコーディング中止事件」があるだろう。

彼らは新しいアルバムを収録するために、ニューヨークに向かった。しかしそこでの作業は上手くいかず、結局すべての予定を中止して日本に戻ってきたという経緯があるそうだ。

海外の感覚や雰囲気に慣れていないアーティストなら、そんなこともあるかもしれない。

けれどOKAMOTO’Sは前述した通り、海外での実績があるバンドだ。

そんな彼らが海外の環境に納得できなかった。そしてたどり着いたのが、「90’S TOKYO BOYS」を代表とする90年代の空気をまとった音楽性だったのだろう。

逆行ではなく、取り戻すという感覚

OKAMOTO’Sの楽曲からは、確かな90年代らしさを感じられる。

しかし彼らは時代に逆行しているわけではない。あの空気を取り戻して、新しく作り変えているのがポイントだ。

ハマオカモトは「90’S TOKYO BOYS」を評して、「レッチリらしさを体現できた」とコメントしている。

あくまで音楽シーンの空気をベースとして、最先端の魅力に変換すること。

それこそがOKAMOTO’Sの存在感となり、今の彼らの立場を確立しているのだろう。

BROTHER

今後OKAMOTO’Sがどのような方向に向かっていくのかはわからないが、時代の空気を自分らしさに変える力を身に付けた彼らは、他のバンドにはできない音楽制作を行ってくれるはずだ。

90年代の音楽は、海外・国内問わず、今でもCMなどで頻繁に流されている。

OKAMOTO’Sの音楽もそういった流れに乗って、1つの時代を築いていくかもしれない。

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