日頃好きなバンドを見に足を運ぶライブハウス。
バンドのライブを見るためには欠かせない必要な施設であり、夢と情熱で溢れる非現実的な空間だ。
そんな貴重な時間と場所を提供してくれるライブハウス。
その中では一体どんな人たちがどんな仕事をしているのだろうか。
気になる待遇面も紹介しつつ、今回はその主な仕事内容について見てみたいと思う。
ライブハウスの存続が危うい?
その前にひとつ、ライブハウス業界の現状について触れておきたい。
今の時代、インターネットの普及や集客方法の多様化からアマチュア・インディーズ界ではライブハウス離れという現象が起きている。
対バンという形式で複数のバンドが出演し、他バンドのお客さんを獲得するという今まで一般的だった集客方法は今や時代遅れとなってきているのだ。
その影響により、経営不振から店をたたむライブハウスも相次いでいる。
ただネガティブなことばかりではない。
第一次から現在まで、バンドブームという波は常に訪れており、大小問わずライブという文化はこの先なくなることはないだろう。
プラスに考えれば、今はライブハウス業界が洗練されてきている時期とは言えないだろうか。
PAや照明のスキル、スタッフの対応、そして出演するアーティスト。
良いライブハウスは残り、そこに良いアーティストが集まる。ライブハウスを作る素質の底上げがされている時期とも考えられるのだ。
ライブハウスの仕事内容
それでは、これからより上質な空間となっていくだろうライブハウスについて、その主な仕事内容を見ていこうと思う。
この記事を読んでもらっているということは、もしかしたら一度はライブハウスで働いてみようと思ったことがあるかもしれない。
その後押しに役立てば幸いだ。
ライブハウスの顔、表に出て行う仕事
◆受付
お客さんからチケット+ドリンク代を受け取り、チケット、ドリンクチケットやその日の折込フライヤーなどを手渡す。
◆ドリンカー/キッチン/ホール
そのライブハウスで提供しているアルコールからソフトドリンクなどの飲み物から、軽食などを調理・販売する。
一般的にドリンクチケットや代金と飲み物の交換は主にカウンター越しに行われるが、食事に力を入れているライブハウスではホールとして席まで料理を届ける場合もある。
接客態度も重要だが、多くの種類を揃えているライブハウスになるほどお酒について勉強することが必要だ。
アルバイトとして採用され、下積みや場慣れなどの段階で担当することが多い。
その他清掃や備品の管理などの雑用全般もこなす。
スキルを活かすライブハウス特有の仕事
◆PA
ライブハウスの音を仕切る音響担当。
ステージ内のモニタから返る中音、スピーカーから客席へ出る外音、それぞれバンドにもお客さんにも聞きやすいように音を調整する。
音響という業種はとても奥が深く、専門職となる。
そのためPA次第によっては、その日1日のライブのクオリティもガラッと変わってくるのだ。
◆照明
楽曲の雰囲気を更に際立たせるため、照明機材を巧みに操り音以外の部分で空間作りを行う。
出演アーティストより、キメの部分や合図で照明を変更するなど注文を受け、その趣旨に合わせて行われるのが一般的だ。
◆ブッキング
ライブハウスのスケジュール、バンドの管理などを行う。
ライブハウス主催のイベントにバンドを集めたり、または会場自体を時間貸ししたり、その運用は様々だ。
最近では少なくなったが、ライブが終わると出演アーティストとミーティングを行い、アドバイスをしたりこの先の進み方を一緒に考えたりとプロデューサー的な役割を行っている信頼の厚いブッキング担当もいる。
ライブハウスの運営費に直接関与するため、とても重要な役割となる。
これらは専門的なスキルを持つ人が正社員として雇われたり、経験が長いスタッフが行うことが多い。
ライブハウスの給料
ライブハウスでアルバイトの場合は、大体時給1000円前後が一般的。
※スキルを持ったPA、照明やブッキング職は別。
決して高い給料とは言えないが、常に音楽やライブに囲まれて働けるという付加価値を考えると、文句の言えない金額だろう。
また昼と夜にライブが入っている場合などは長い拘束時間となり、基本的にバンドがはけてからの機材片付けた清掃などとなるため、終電帰りとなることが多い。
最後に
ここまで見たように、ひとつのライブハウスの中には多くの仕事とその役割があり、それぞれが100%の働きをしたときに、その日のイベントは素晴らしいものになる。
逆に、当たり前のように毎日開催されているライブもどれかひとつが欠けたら成立しないのだ。
重労働であったり拘束が長かったり、給料に見合わないと感じる面もあるかもしれない。
ただ、バンドやお客さんへ夢と情熱の舞台を提供できる仕事、そして音楽を愛する人たちの中で過ごせる空間。
間違いなく他にはない貴重な体験となるだろう。
もしライブハウスで働くこと考え、迷っている人がいたら、ぜひ勇気を出してその扉を開けてほしい。
今まで生活の一部であった音楽が、そのすべてになる毎日が待っている。