そこに鳴る のケレン味溢れるプレイに年甲斐も無く心躍ってしまう

超絶テクニカルロックユニットとして注目を集める”そこに鳴る”の4thミニアルバム「ゼロ」が5月9日にリリースされる。

前作「METALIN」では彼らなりのヘヴィメタルへのアプローチを見せ、ラウドロックファンにその存在を知らしめた”そこに鳴る”が、自分達の「原点」に立ち返るコンセプトで制作された「ゼロ」。

活動当初から拘る”凛として時雨”をはじめとするJ-Rock、J-Popらしいテイストの楽曲を、そこに鳴るならではのトリッキーなプレイで彩った特異なサウンドを作り上げている。

彼らの存在を通して、プレーヤーとしての在り方と音楽について触れてみたい。

ラウドロックファンの琴線に触れるそこに鳴るのプレイスタイル

“そこに鳴る”は、ギターの鈴木重厚とベースの藤原美咲を中心としたロックユニットだ。男女のツインボーカルにドラムが加わる最小3ピースで活動をしている。

そこに鳴る / 掌で踊る

彼らの特徴といえば、何と言ってもその”ケレン味”溢れる楽器のプレイスタイルにあるだろう。

ギター、ベース、ドラムという最小構成にもかかわらず、とにかく音数が多い。そして、それぞれの主張が強い。しかし、それでいてバランスを欠くこと無く、アンサンブルとしてのまとまりを持っている。

かれらは別にヘヴィメタルやラウドロックをルーツとしておらず、また本人達もそういった志向も持ってはいない。前作「METALIN」ではコンセプトとしてメタルを意識した楽曲を作り上げていたが、そこに鳴るの基本的な楽曲志向はどちらかといえばJロック、Jポップ寄りだ。

そこに鳴る / METALIN

しかし、楽曲に織り込まれるギターやベースのちょっとしたフレーズや凝った曲構成は、楽曲をリフやソロや楽器パートごとに分解して聴くクセを持ったヘヴィメタル、ラウドロックファンの琴線に触れるものを持っている。

プレーヤーを魅了するそこに鳴るの存在

昔話になるが筆者がギターを弾きまくっていた学生の頃は、その楽曲の好き嫌いに関わらず「イングヴェイ・マルムスティーン」と「ヴァン・ヘイレン」が弾ける奴は”ギターが上手い”という基準となっていた。

ベースで言うと「アイアン・メイデン」や「メタリカ」をフィンガーピッキングで弾くやつは”すげぇ”って話になったし、スラップできる奴は一目置かれる存在だった。

大人になって聴く音楽の幅が広がれば、内田貫太郎の超絶スライドギターや、ジェフ・ベックのアーミング、ジョー・パスのコードワークなど「こんな風に弾いてみたい」と思うハイテクニカルなプレイがそこかしこにある事に気付くが、それでも”速弾き”や”タッピング”といった見た目に分かり易いテクニカルな奏法というものは、幾つになっても心躍らせるものがある。

そこに鳴る / 新世界より

そこに鳴るの楽曲には、そんな心躍らせるプレイが意図的に散りばめられている。そこに鳴るの魅力は、ギターやベース、ドラムの音を聴いて初めて”すげぇ”と感動した初期衝動を想い起させる楽曲を聴かせてくれる所にあると思う。

自らの初期衝動を忘れないそこに鳴るの活動

2015年のインディーズデビューから4年、まだ4枚のミニアルバムしかリリースしていない彼らはドラムもサポートメンバーのままで、その音楽性もまだ未確定である。

しかし、自分達の音楽に対する初期衝動にフォーカスし、その時の感動を伝えるというコアとなるコンセプトは一貫している。

彼らの公式Youtubeチャンネルでは、彼らの活動コンセプトを表わす様に、自分たちの尊敬するバンドの曲をコピーする「そこに鳴る軽音部」という企画を展開しており、彼らのルーツが垣間見えると共に、カバー曲に対する彼らなりのアプローチが楽しめる。

チャットモンチー『真夜中遊園地』cover
(チャットモンチー トリビュートアルバムオーディション応募)

このチャットモンチーのカバーは残念ながら選考から外れた様だが、そこに鳴るらしい”やかましさ”で、個人的には正式採用された川谷絵音のアレンジより断然好みだ。

また、今作「ゼロ」のリード曲「掌で踊る」ではメンバー本人によるパートごとのかなり詳しい演奏解説動画がアップされており、楽器を始めたばかりのキッズでもトライしてみようという気になるだろう。

【そこに鳴る】5/9発売「ゼロ」ダイジェスト試聴トレーラー

つまり彼らは、自分達が楽器を始める時に聴いて感動し”コピーしたい”と思えたJ-Rock、J-Popのバンド達の様に自分達もなりたい。というミュージシャンの多くが抱くシンプルでストレートな想いを大切にしている様に思える。

トリッキーでテクニカルなパフォーマンスに彩られた、シンプルでストレートなそこに鳴るの心躍らせる作品を、これからも楽しみにしている。

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