ガンダムやマジンガーZなどの有名ロボアニメにおいて、主題歌の重要さは改めて語るまでもない。
しかしその主題歌の「性質」に関しては、近年どんどん変化しはじめているように思われる。
かつては「熱さ」こそがその役割であったロボアニメの主題歌だが、今後は「熱さ」だけでは評価が難しい時代になってくるのではないだろうか
こちらではこれまでのロボアニメと、今のロボアニメを分離する「熱さ」のちがいについてチェックしていきたい。
かつては「熱さ」と「シンプルさ」こそが役割だった。
ロボアニメといえばガンダムの主題歌「翔べ!ガンダム」や、マジンガーZ・ゲッターロボなどのオープニング曲を思い浮かべる人は多いだろう。
これらの歌に共通しているのが、「熱さ」と「シンプルさ」であることは誰の目にも明らかだ。
翔べ!ガンダム
ロボットの名前を繰り返し、その武勇を応援するような歌詞は、子供心と大人の物欲を同時に刺激するような作用をもたらしたことだろう。
あまりにも洗練されたわかりやすい歌詞とメロディのため、30年以上経った今でも当たり前のように聴けるのが、かつてのロボアニメソングの特徴であるといえる。
その後「熱さ」を重視していく
ロボアニメはその後も映像やシナリオ面でさまざまな進化を遂げていく。
そのなかではもちろん、主題歌もそれ相応の変化が求められたことだろう。
あらゆる方向への進化が考えられただろうが、結果的にロボアニメはその「熱さ」により力を入れていくことになった。
HEATS
勇者王誕生!
影山ヒロノブや遠藤正明といったアーティストたちの牽引によって、ロボアニメの主題歌=熱血のような図式は広がっていく。
それはもちろん成功といっていい。90年代から2000年初頭のロボアニメは、この熱さに支えられていたことは明白だからだ。
しかしその後もずっと同じスタイルでいられるほど、日本のアニメ産業は生易しくはなかった。
あらゆる音楽に寛容になっていく
アニメ産業が活発になっていく2000年代以降、ロボアニメにも新しい世代から名作と呼べるものたちが発表されていく。
しかしそれらは明らかに、以前のロボアニメとはちがったスタイルを取っていた。
そのちがいは、主題歌を聴くだけで簡単に理解することができる。
COLORS
sakura
コードギアス・エウレカセブン・ガンダム00といった新星ロボアニメたちは、いわゆる「現代風」の絵柄やシナリオを採用されたアニメだ。
技術とその当時変わりはじめたアニメ界に馴染むために、やはり主題歌が重要視されたことはうかがえる。
「熱さ」から決別して、新たに「スタイリッシュさ」とでもいうべきオシャレ感を身にまとった主題歌は、ロボアニメファンだけでなく、他のアニメファンや一般リスナーにも受け入れられることになった。
この路線変更が功を奏し、2000年代以降もロボアニメは1つのジャンルとして継続され、2018年になった今でも新作を発表する枠が与えられている。
「ロボアニメの主題歌とはなにか?」という定義にこだわらず、ここである程度寛容になることができたからこそ、息の長いジャンルになることができたのかもしれない。
「熱さ」は失われてしまったのか?
ここで本題に戻るが、新しい主題歌像を手に入れたロボアニメには、もはや「熱さ」は必要なくなってしまったのだろうか。
まったくそんなことはないことを、いくつものアニメが教えてくれているのがわかるだろう。
2000年代以降に作られたロボアニメの主題歌にも、しっかりとこれまでの「熱さ」は受け継がれている。
守護神 The guardian
GoTight!
ただ現代風のビジュアルになったこと、若い層に向けての歌詞やメロディになっていくという「進歩」は免れない。
しかしそれさえ寛容に受け入れることができれば、かつてロボアニメの主題歌に胸を打たれた世代も、現代のロボアニメにどっぷりとハマり込むことができるだろう。
また最近では、かつてのロボアニメがリメイクされはじめていることにも注目したい。
映像や雰囲気を現代に合わせていく過程で、主題歌もまたフルリメイクされているのだ。
マジンガーZ / INFINITYバージョン
ロボアニメ主題歌が持つ「熱さ」がまた、今の世代にも浸透していくことは予想できるだろう。
ロボアニメと主題歌の「熱さ」は、もう切っても切れないところまできている。
それをどう表現するのか。ロボアニメの発展は「熱さ」の方向性に深くかかわっていくのかもしれない。