昨今「CDが売れない」というフレーズが世間を飛び交っている。
音楽に無関心の人でも一度は耳にしたころがあるだろう。
その裏で着実に成長してCDのシェアを侵食しつつあるもの、それがダウンロードやストリーミングなどの音楽配信である。
今まで、歴史と共に音楽の提供方法は常に大きな変化を遂げてきた。
今回は、現在主流になりつつある音楽配信に注目してみようと思う。
音楽提供の歴史
レコード、カセットテープ、CD、MD、そしてダウンロード。
歴史と共に技術は発展し、音楽は様々な提供方法でリスナーのもとに届けられてきた。
まずはこの発展の歴史を少し見てみよう。
- 1880年代~ レコードの誕生
- 1980年代~ カセットのシェアがレコードを追い抜く
- 1980年代後半~ 音楽のデジタル化、CDが爆発的に普及
- 1990年代~ MDの誕生
- 1990年代後半~ MP3ファイルの登場、音楽配信の先駆けとなる
- 2000年代~ ダウンロード配信が徐々に認知される
- 2000年代後半~ ストリーミングサービスも登場し、徐々に音楽配信がCDのシェアを侵食
1877年12月6日、エジソンが世界で始めて録音・再生を可能にする蓄音機「フォノグラフ」を発明。
そのことから、12月6日は日本オーディオ協会より音の日と定められている。
この発明を皮切りに、音楽の発展は著しい進化を遂げることになるのだ。
カセットテープにMD、今や廃れたメディアだが、共に過ごしてきた昭和の人たちには忘れられない思い出も多いだろう。
そして各メディアの中生き残り主流となったCDは、8cmから12cmへ姿を変え長い間普及し続けることになる。
好きなアーティストのコレクションとして、または古き良き名曲が収録されているCDがプレミアになったりと、音楽を聴くという以外でもこのCDは常に音楽人の話題の中心となった。
そんなCDが今、売れなくなってきているとあちらこちらで囁かれている。
ゴールデンボンバーよりこんな曲もリリースされるほどだ。
なぜCDは売れなくなったのか、その原因とも言える音楽配信とは何なのか、どんな歴史があるのか。
それでは音楽配信について詳しく見ていこう。
音楽配信とは
音楽配信(おんがくはいしん)は、インターネットを通じて楽曲を配信することである。「デジタル音楽販売」「オンライン(音楽)配信」なども同じ意味に使われる。一曲・アルバム毎にダウンロードする形式や、定額制のストリーミングによる聴き放題の形式がある。
※Wikipediaより
CDやMDなど、有形のメディアで音楽を聴くという常識はもはや崩壊し、外出時でもmp3ファイルが保存されたプレイヤーやスマホ+ネット環境などがあれば音楽が聴けてしまう時代になってきている。
CDを聴くためにCDウォークマンを持ち歩き、楽曲毎にCDを取り替える。
またはそのCDを買うためにCDショップやレンタル店へ通う必要がある。
片や、何千曲と入っている小さく軽いポータブルプレイヤーだけを持ち歩く、またはいつも使っているスマホでネットにアクセスするだけ。
入手方法も家にいながらネットからダウンロード。
どちらを選ぶかは一目瞭然である。
また音楽配信のメリットのひとつとして、CDでは不可能だった単曲ごとの購入が数百円でできるようになった。
一昔前はTVやラジオで一方的に有名アーティストの楽曲が流され、その流行の歌をこぞって購入していた。
言わば音楽業界がリスナーに購入する楽曲を与えていたようなイメージだ。
だが、インターネットが普及した今の時代は、リスナー自らがネット上で聴きたい曲、買いたい曲を選ぶことができるようになり、その楽曲数はもはや目まぐるしいほどの数だ。
そんな中、楽曲1曲ずつ購入できるというメリットはとても大きく、自分なりのベストアルバムを作ったり、気になるアーティストの楽曲をお試しで1曲だけ購入するといったことも可能になったのだ。
音楽配信の歴史
それでは登場から現在まで、音楽配信はどのような成長を遂げてきたかを見てみよう。
mp3ファイルの浸透
1990年代後半になると、P2Pファイル共有ソフトなどの手伝いもありmp3ファイルが広まっていった。
ただ、この頃はまだmp3を聴くためのプレイヤーが乏しく、多くのリスナーはmp3ファイルを焼いたCD-RをCDウォークマンなどで聴いていた。
そこで躍り出たのがアップル社だ。
アップル社の参入で飛躍的に普及
2000年に入ると、iPodやiPhone、iTunes、iTunes Store、Apple Musicなど、今まさに活躍し続けるデバイスやソフト、ダウンロード販売サイトなどが続々と登場してくる。
iTunes Storeはリリースわずか1週間で100万曲ものダウンロードされるなど爆発的な人気を誇り、またiPhoneの登場によりパソコンがなくてもiTunesから直接楽曲購入ができるようになり、その普及は歯止めがきかないものとなった。
2010年頃なると、徐々にCDの売り上げは低迷し、市場のシェアを独占していた2000年前半の全盛期に比べると、その売り上げは約半分程度まで落ち込んだ。
市場のシェアはダウンロード販売に傾きつつあったのだ。
ストリーミングサービスの登場
更にそこで追い討ちをかけるように広まってきているのが、このストリーミングサービスだ。
アップル社の成功にあやかるかのように、Google Pley Music、Spotify、Line Music、AWA、Music Unlimitedなど各社が市場に参加し、ストリーミングサービスを展開。
ストリーミングサービスでは定額・聴き放題が一般的。
この提供方法や、また曲を自分の端末内に保存せずネット上で聴くというスタイルも多くの支持を受けている。
最後に
まだ日本ではCD・ダウンロードが一般的な購入方法だが、このストリーミングが近い将来常識になってくるのではないかと囁かれている。
楽曲に対する尊厳であったり、形が無くなることへの抵抗であったり、未だに賛否両論はあるが、いつでも時代という波は無情にもすべての常識を飲み込み覆していくのだ。
この日本でもダウンロードやストリーミングは普及が加速し、当たり前になる日がくるかもしれない。
だが、そうなったとしても、今レコードやカセットがそうであるようにCDもまた音楽産業発展の歴史に大きく名を残すことになるだろう。
良い音楽が手軽にかつ正しく、世の中に広がっていく発展に期待したい。