THE STREET BEATSの日本的ヤンキーロックよ永遠なれ

THE STREET BEATSの日本的ヤンキーロックよ永遠なれ

日本独自の”ロックンロール魂”を継承し体現し続けるバンドTHE STREET BEATSのデビュー30周年を記念した「魂のクロニクル~DEBUT 30 YEARS BEST~」がリリースされた。

1984年の結成以来、ブレることなく活動し続けるTHE STREET BEATSの長い歴史をたどる様、代表的なナンバー42曲を全曲最新リマスタリングで年代順に収録したこの2枚組ベスト盤は、往年のファンから新しいファンまでTHE STREET BEATSの一貫したロック魂を充分に感じる事ができる内容となっている。

THE STREET BEATSが伝える日本のロック史

THE STREET BEATSは1984年にフロントマンであるØKIとギターを務めるSEIZIの兄弟メンバーを中心に、二人の故郷である広島で結成され、1988年にメジャーデビューしている。

音楽のジャンルとしては「パンク」という事になっているが、THE STREET BEATSがデビューした当時は今ほど音楽は細分化されておらず、ギターベースドラムだけで4つ打ちのロックをやるバンドはだいたい「パンク」に分類されていた。

THE STREET BEATS 『魂のクロニクル』デビュー30周年ベスト盤

1982年にデビューし、文字通り日本のロック史を塗り替えたBOØWY(暴威)が1987年に人気絶頂のうちに解散し、入れ替わる様にTHE BLUE HEARTSが鳴り物入りでデビューした時代。

それまでパンクと言えばザ・スターリンの様なアングラである種の思想めいたものを抱えた”恐い”イメージのものであったが、THE BLUE HEARTSが「パンクロックが好きだ」と歌い、マイクロフォンの中から「ガンバレー!」と言った事で、一気にパンクは受け入れられるようになった。

ザ・スターリン246 / 虫

とにかく空前のバンドブームが起こり、似たようなバンドが雨後のタケノコのようにデビューしていた時代に、そんな多くのバンドの一つとしてTHE STREET BEATSはデビューしている。ØKIの名前表記に” Ø”があるのはその名残りだろう。

BOØWY / B・BLUE

BOØWYは今でこそ「伝説」として語り継がれているが、もし多くの年配者が望むような”再結成”が実現しても、THE STREET BEATSの様な”燻銀”のような輝きは観る事ができないと思える。

日本的ヤンキーロックの系譜

日本において「ロック」とは”舶来品”であったが、その反体制的でありながら小難しい思想を有さない勢いのある音楽は、70年代には”ツッパリ”と呼ばれていた硬派でバンカラな「日本的ヤンキー」に受け入れられる事となった。

そのきっかけはもちろん、ロックレジェンド「矢沢永吉」が率いる「キャロル」の存在である。

キャロル / ファンキーモンキーベイビー

そこから辿ると宇崎竜童から横浜銀蝿、シャネルズ、ギターウルフ、THE COLTS、氣志團に至るまでとてもスペースが足らないので省略させてもらうが、その系譜は確かに脈々と受け継がれている。

THE STREET BEATSは、1986年にデビューしているSIONにも似たハスキーな声で歌うリアルなフォークロックとBOØWYに見られた” ビートロック”と呼ばれる音楽性を継承し、80年代の雰囲気を今も感じられるナンバーを歌い続けてきたが、2000年以降には近代ヤンキー漫画の金字塔『クローズ』の作者、高橋ヒロシに取り上げられ、一気に日本的ヤンキーロックバンドとして認知されるようになった。

THE STREET BEATS / さすらいの歌(映画「クローズZERO II」エンディングテーマ)

日本的ヤンキーロックには泥臭さが必要

かつて”ツッパリ””ヤンキー”と呼ばれた不良スタイルは、バブルの頃にはすでに”ダサい”というイメージで受け取られ冷笑の対象となったが、世紀をまたいだ現在においても若者の”不良化”の一スタイルとして国内地方都市を中心に根強く残っている。

そんなヤンキーが支持する音楽は、かつての様に「ロックンロール」一辺倒ではなく、EXILEグループに見られるブラックミュージックに根差したR&Bやギャングスタラップを含むHIPHOPやレゲエ、ラウドロックまで多様化している。

ZEEBRA / STREET DREAMS

しかし、共通するイメージとしては少年ジャンプの三大原則にも見られる「友情」「努力」「勝利」が根底に感じられるものであり、オシャレさとは対極に位置するものだ。

結成から30年以上に渡り、自分達のビートロックを守り、華やかなステージに立てずとも同朋と呼べるファンに向け歌い続け、またこれからも変わらずに歌い続けるTHE STREET BEATSは、日本の伝統的なヤンキー文化を体現するバンドとして地位を確立した。

自分の趣味趣向がどうであれ、このようなバンドをないがしろにしてはいけない。
彼らの活動期間は、今やラモーンズよりも長いのだ。

The Ramones / Blitzkrieg Bop

THE STREET BEATSには、これからもステージに立ち続け、明治時代に登場した「バンカラ」から脈々と続く、日本の伝統的な美しい「ヤンキー魂」を体現し続けていってもらいたいと思う。

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