2月28日、ROTTENGRAFFTYが約5年ぶりとなる待望のフルアルバム『PLAY』をリリースした。
1999年の結成以来、大手レーベルからメディア流通のバックアップが得られない状況にあっても、常にオーディエンスに向けて自分達の音楽を”PLAY”し続けてきたROTTENGRAFFTYというバンドの生き様を映すようなアルバムとなっている。
日本ラウド界を支え続けたROTTENGRAFFTY
日本人というのは、何でも終わらせるのが好きだ。「○○\(^o^)/オワタ」「○○終了のお知らせ」と、とにかく終わらせないと次が始められないというのは、生真面目な日本人の成せる技なのかもしれない。
ROTTENGRAFFTY / PLAYBACK
80年代にジャパニーズメタルとして世界にも存在感を示していた日本のラウドミュージックは、90年代の初頭に終了した。
いや、正確には売れなくなった旧来の「ジャパニーズメタル」を終了させて、ヴィジュアル系またはメロコアに”ラベルを貼り代えた”だけなのだが、それでもそれぞれの相容れない独立したカテゴリーとしてアンダーグランドに追いやられることとなった。
その間、アメリカではRage Against the Machineの登場からLimp BizkitやPapa Roachが人気を博しLinkin ParkやSlipknotなどラップメタルと呼ばれるバンドが注目されるラウドロックの大きなムーブメントが起こっていたが、ラップすらまともに根付いていない日本ではそのムーブメントから取り残されることとなる。
しかし、そのラップメタルのムーブメントを受け、日本独自の”ミクスチャー”というカテゴリーとして、Dragon Ashなどと共にラウドミュージックの進化と次世代への橋渡しを担っていたのがROTTENGRAFFTYであると思える。
ROTTENGRAFFTY / 金色グラフティー
自分達の音楽を守り続けたROTTENGRAFFTYの軌跡
「ミクスチャー」という音楽カテゴリーは、何かを示している様で何も示していない。
本来であれば、有色人種の文化に根付いたヒップホップやラテン、レゲエ、スカなどの音楽と、白人文化をベースとしたメタル、パンクなどをミックスした音楽という説明になるのだろうが、日本国内では人種的な文化の違いも無く、どの音楽カテゴリーも未熟で、それらをミックスしたところで受け取る側は困惑するばかりだ。
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2000年代初頭の国内ミュージックシーンでは正にそのような反応で、大きな人気を得ていたDragon Ashでさえも、そのカテゴリーはあやふやでミクスチャーロックを根付かせるには至っていない。
ミクスチャーの中でもDragon Ashよりヘヴィでラウド志向なROTTENGRAFFTYは、その手の音が好きな人々からは熱い支持を得ていたが、ROTTENGRAFFTYを受け入れるマーケットは拡がりを見せず、アンダーグランドにおいて、ファンの期待を裏切らない確かなバンドとして15年以上に渡り活動してきた。
ROTTENGRAFFTY / So…Start
フェスで生き続けたROTTENGRAFFTY
2000年以降、フジロックやロックインジャパン、サマソニなど恒例となった大型ロックフェスがいくつもあるが、ラウドミュージックファンの多くが注目している国内フェスは、10-FEETが企画主催する『京都大作戦』ではないだろうか。
2007年から始まった『京都大作戦』。今やアリーナクラスの動員を誇るSiMやMAN WITH A MISSIONが憧れたそのメインステージに、ROTTENGRAFFTYはDragon Ashと共に常連として出演している。
リリースの無かったこの5年間も毎年出演を重ね、それもただ出演するだけでなく主催の10-FEETに次ぐメインアクト並みの扱いで、とにかく「音楽を体全体で受け取りたい」タイプのオーディエンスを満足させるパフォーマンスを続けてきた。
ROTTENGRAFFTYに追いついた日本のミュージックシーン
そして今年、メジャー流通では12年ぶりとなるフルアルバム『PLAY』のリリースに合わせて行われる全国ツアーのファイナル公演が、バンド・キャリア初となる日本武道館公演となることが発表された。
これは、ROTTENGRAFFTYが進化した結果ではなく、日本のミュージックシーンが20年かけてROTTENGRAFFTYを受け入れられるだけ進化してきた結果であると思える。
ROTTENGRAFFTY / 世界の終わり
派手な化粧や刺青、またはオオカミの被り物でもしていないとミクスチャーラウドを受け入れられなかった日本のミュージックシーンが、ホンモノに触れる時が来たのだ。
結成20周年を前に、まるで新人バンドのように暴れまわるROTTENGRAFFTYの活躍を大いに期待している。