3月14日発売の米津玄師の新曲「Lemon」のMVが配信された。
本作「Lemon」は米津玄師にとって色々な「はじめて」を添えた楽曲であり、周囲の反応や評価が勝手に気になってしまう。
「Lemon」のヒットの方向によって、これからの米津玄師が、少なくとも2018年の彼の扱われ方が変わってくると思われるからだ。
米津玄師が「Lemon」によって体験したさまざまな、「はじめて」をチェックしながら、この楽曲が受けるべき評価について考えたい。
「はじめて」のドラマ主題歌
「Lemon」は米津玄師にとってはじめての、テレビドラマ主題歌として採用された楽曲だ。
ツイッターによれば12月末にレコーディング終了。その後1月12日から放送されるドラマ「アンナチュラル」に起用されるというなかなかのハードスケジュールとなったようだが、ドラマの内容とばっちりと合った印象を多くの視聴者が感じたことだろう。
金曜ドラマ『アンナチュラル』2分半で分かるSPダイジェスト
「Lemon」初オンエアはドラマ第1話のエンディングだったことも影響し、初見のインパクトは絶大だった模様。
米津玄師の作品はこれまで主にネットを中心に披露されてきたため、今回のようにテレビを媒体として届けられることはファンにとって新鮮な経験となったことだろう。
そしてテレビドラマを基軸としたアピールは新規リスナーの獲得につながり、米津玄師の可能性を広げる1つのきっかけになると予想できる。
主題歌となっているドラマ「アンナチュラル」は法医解剖学を取扱う内容であるため、どちらかといえば大人向けのエンターテイメントとなっている。そのため「Lemon」を聴くリスナーは、自然とこれまでの若年層から広がっていくことになるだろう。
メディアの力によって米津玄師の魅力がどのように認知されるのか、「Lemon」は実験的な意味も持つ曲でもあるといえそうだ。
100万再生を史上最速で突破
「Lemon」はドラマでの披露後、2月27日にyoutubeでMVが公開された。
その結果はおどろくべきもので、なんとわずか13時間のうちに100万再生を記録したとのこと。
「Lemon」
米津玄師はそもそも動画サイトでの人気が根強く、これまでも24時間で100万再生という実績を持ってはいた。
しかし13時間というのはこれまでをはるかに凌駕する圧倒的な数字であり、米津玄師が「Lemon」で打ち立てた「はじめて」の記録であるといえる。
ドラマ主題歌として根を張ったことが影響したのか、「Lemon」は今後も再生数を伸ばしていくことに期待できるだろう。
楽曲はこれまでと変わらない魅力の塊
はじめてのドラマ主題歌であっても余計な力が一切入らず、いつも通りの米津玄師らしさを提供してくれたのはさすがである。
「Lemon」は前作のシングル「ピースサイン」から9ヶ月後の発売であり、ドラマの一部として使われるプレッシャーもあったはずだ。
それでも自分らしさを見失わない米津玄師のアーティスト性こと、多くのリスナーを惹きつけるポイントとなっているのだろう。
「ピースサイン」
また本作に関しては、「今までの曲と変わらない雰囲気である」ということは通常以上に大きなメリットになり得る。
なぜなら「Lemon」が多くのリスナーにとって、米津玄師に触れる「はじめて」の曲となる可能性が高いからだ。
「はじめて」米津玄師を聴いて素晴らしいと感じた人は、過去の楽曲を聴こうと思うだろう。そこに求めているのは、「Lemon」と変わらない雰囲気や楽曲の魅力だ。
もし「Lemon」がこれまでの曲とは一風変わったものだったら、「Lemon」に心打たれたリスナーがその後もついてきてくれるかはわからない。
テレビドラマとして扱われるような楽曲のときほど、アーティストは自分の色を外さないことが求められるだろう。
米津玄師がメジャーデビューしてから8枚目のシングルとなる「Lemon」は、そんなリスナーの「はじめて」とアーティスト側の「はじめて」が上手くマッチした一例となることが予想できる。
昨年から新しいトップアーティストの一員となっている米津玄師は、新たなるファン層の獲得と共に2018年をスタートできそうだ。